松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆オルソン問題を考える(3)

2021-12-21 | 自治会・町内会、オルソン問題を考える
 C・バーナード(Chester I. Barnard)は、組織の形成・維持における誘因について、経営学の立場から論じている(『経営者の役割』1938 年)。
 どうやったら組織は動かせるのか。バーナードは、体験をベースに論じている点が魅力である。

 バーナードは、組織が個人に提供する「誘因」と、個人が組織に提供する「貢献」のバランスが重要であり、「誘因」が「貢献」を上回るであろうと期待されるときに、貢献意欲が成立する。
 個人は,個人的動機を満足させようと共同活動に参加する。他方、組織は,組織目的を達成する為に,個人的努力の貢献が必要である。そこで、組織は, 個人の個人的動機を満足させるための様々な誘因を参加者に提供して,組織目的を達成するために必要な個人的努力を獲得する。

その誘因については、
(1) 特殊的で個人に特定的に提供されるものと, (2)一般的で個人に特定的に提供されえないものに分けられる。

特殊的誘因には,
(a) 貨幣や物財や物質的条件のような物質的誘因(material inducements)
(b) 優越や威信や支配的地位の獲得機会のような個人的・非物質的機会(personal non-material opportunities)
(c) 好ましい物的作業条件(desirable physical conditions)
(d) 誇りや忠誠や宗教的感情のような理想の充足(ideal benefactions)

一般的誘因には,
(e) 社会結合上の魅力(associational attractiveness)
(f) 慣行や習慣的なやり方に適合すること(adaption of conditions to habitual methods and attitudes)
(g) 広い参加の機会(opportunity to enlarged participation)
(h) 心的交流の条件(condition of communion)

 組織の形成・維持における誘因であるが、会社と違って、自治会、町内会のような組織性が弱い組織には、このバーナードの分類は、そのまま適用できないが、オルソン問題を乗り越えるヒントになるだろう。
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