松下啓一 自治・政策・まちづくり

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★県条例vs市条例(奈良県)

2008-01-27 | 2.講演会・研修会
 私は政令市の横浜市にいたので、県条例を意識したことがほとんどない。分権以前の時代で、統制条例の規定があった時代であるが、理論的には県条例が上位かもしれないが、実務では市条例を優先せざるをえない、というのが実際の感覚であった。
 分権になり、機関委任事務が廃止された。県はその仕事の7~8割が機関委任事務であるという呪縛からのがれ、今度は独自に条例をつくれる「自治体」となった。それゆえ独自に条例をつくるという場面が増えてくるだろう。
 県と市は対等になり、担当する事務が異なるだけとなった。これがうまくいけば、対象領域が違うのだから、県条例と市条例がぶつかり合うことはないはずである。しかし、実際にはそんなにきれいに分かれるはずがない。
 そこで、県条例と市条例がぶつかり合い、どちらが優先するかという問題が出てくる。
 県が上位だから、県条例が優先するという理屈はなくなった(市職員の心情としてはあるだろうが)。事務によって区分する考え方(広域事務は県、補完事務は市が優先)もよく分かるが、事務の区分自体が明確でないため、問いに対して問いに答えている感じが否めない。
 ここでも結局、①ニーズが強いほう(やらなきゃ)と思ったほうの条例が優先する。②条文を書くだけではだめで、予算をつけ、人をつけ、実際に対応している条例が優先する、という私の条例論に戻ってくる。
 「条例づくりは格闘技である」というのが私の意見であるが、自治体としての県の政策法務の真髄は、この「やったるでマインド」を身につけ、やったるでのための技術(県の上層部を説得し、県民の巻き込みも含めて)を学ぶことだろう。
 研修の最後のほうでは、「県とは何か」で職員間で議論になっていた。さすが優秀である(研修講師としてはちょっとうれしい)。
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