松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆自治基本条例づくりは共通善を探す作業だった

2022-05-01 | 自治会・町内会、オルソン問題を考える
 戸田市において、自治基本条例の意義を話している際に、頭に浮かんだ。「そうだ、自治基本条例づくりは、共通善を探す作業だったのだ」と。

 コミュニタリアニズムの中心概念である「共通善」は、リベラリズムからは、今の時代、そんなものは合意ができるはずがないと批判される。これに対する、コミュニタリアンからの反論は、今ひとつ、迫力がない。

 私の関心は、地方自治である。想像の共同体である国家と現実の共同体である地方とは、行動原理が違う。たしかに想像の共同体で、共通善を見つけるのは難しいかもしれないが、「人々の暮らし」を基盤とする地方自治では、現実の共同体ゆえに、そこで一緒に暮らしていくために必要な共通善が生まれてくる。

(1)自治基本条例で言えば、前文、目的、基本理念に当たる部分が共通善の内容である。
 戸田市の自治基本条例では、「つながり」がキーワードになっている。

(2)自治基本条例のつくり方は、共通善を探すのにふさわしい方法である。
・役所が示すのではなく、市民で議論しながら、探していく。
・手法は、グループワークで、一人ひとりが、思いを出しながら、まとめていった。
・さらには、パブリックインボルブメントを取り入れ、それが共通善にふさわしい内容なのか、市民の吟味を受けることになる。

・戸田市の場合は、それを机上でやるのではなく、「学び」「体験し」、「創る」というプロセスを経て、探していった。この過程に中で、頭だけ、主義主張だけの「共通善」を主張する人たちは、脱落していき、率直な、市民の思いに寄り添った「共通善」が探し出されてきたのだろう。
・私の体験の最初は、流山PⅠである。これはすごかった。
・焼津でも、同じことをやった。

 自治基本条例が共通善を探す作業だったというのは、誰も文字にはしていないだろう。学会の主流であるリベラリズム、その代表例であるニセコのまちづくり基本条例の流れからは、全く、出てこない考え方である。

 このあたりをまとめると、いい論文になるだろう。『実践自治』に、こんなことを書いても、「?」だろうから、ひと段落したら、まとめてみようと思う。何か、楽しなってきた。
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