松下啓一 自治・政策・まちづくり

【連絡先】seisakumatsu@gmail.com 又は seisaku_matsu@hotmail.com

☆域外住民へのサービス①

2020-04-10 | 域外住民への関与
 域外住民へのサービスというのは、意外とあるようだ。

 市役所にいて、福祉の仕事をしたことがないので、福祉のことはリアルには分からない。ただ福祉は、協働の最たるものなので、ある意味、時代の先端を行っている。

 域外住民へのサービスの代表的なものは、介護保険や国民健康保険の域外住民への給付がある。介護福祉施設は、サービスの内容によって値段も違ってくるが、やはり一番の違いは、土地の値段だろう。東京の一等地と三浦半島では、土地の値段が違うから、入所時の値段が違ってくる。

 我が連れ合いは、テレビでやっていた、石坂浩二のような男がいて、敷地内にバーなどがある「やすらぎの郷」に行きたいと言っているが、こうした施設には、一時金が一億円などというところもある。そんなお金があったら、もっと社会的に有用なものに使いたいし、私は、300万円とノートパソコン(レッツノート)、集めた資料だけあれば、それでいいので、あとはみんなあなたにあげる(もともとたいしてないが)と宣言してしまっている。

 お金持ちはともかくとして、多くの人は、安いところを探すが、そうなると、三浦半島になる。三浦半島の先、三浦市は、財政状況は厳しいが、土地は安く、暖かく過ごしやすいし、海も見えるので、ここに介護施設が林立することになる。

 国保も介護も、住所地が給付することになるが、その結果、三浦市(あくまで例です)は、高齢者が集まる街になる。高齢者と子育て世帯とは、収入も支出も大きく違うから、住民税など入ってくる税収は少ない、あまり買い物もしないから、地域経済に与える影響も小さい割に、給付費ばかり増えてしまうことになる。

 人が住めば、地方交付税も見込まれるが、元気な高齢者ならばいいが、介護度が高い高齢者の場合は、支出のほうが多いということになる。三浦市(これはあるまでも例です)は、大都市の尻拭いをしているような感じになる。介護老人を送り出す自治体のほうはどんどん身軽になり、引き受ける自治体のほうは、どんどん重荷になる。財政の不均衡が生じ、不公平ということになるので、何とかしなければということになる。

 また、そのうち、三浦市とすると、負担ばかりの施設は建てさせないという強硬手段に訴えることにもなるだろう。そうすると、介護施設の建設は進まず、超高齢社会が、この面で行き詰まることにもなる。

 そこで考え出されたのが、住所地特例の考え方である。国はこのように言っている。
・介護保険(国保も同じ)においては、地域保険の考え方から、住民票のある市町村が保険者となるのが原則。
・その原則のみだと介護保険施設等の所在する市町村に給付費の負担が偏ってしまうことから、施設等の整備が円滑に進まないおそれがある。
・このため、特例として、施設に入所する場合には、住民票を移しても、移す前の市町村が引き続き保険者となる仕組み(住所地特例)を設けている。

 要するに、ここでは自治体は、すでに転出した住民(つまり住民以外)に、給付費等のサービスを行っていることになる。地方自治は、住民を対象に属地主義で事業を行うのが原則であるが、この原則を貫きえない例外が、あちこちで広がっている一例といえる。

 調べてみると、こうした例外はいくつもあるようだ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ☆はじめての条例づくり⑳第1回... | トップ | ☆新城市穂積市長ブログ復活す... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

域外住民への関与」カテゴリの最新記事