土佐のくじらです。
今回の記事は歴史物です。
通常の流れですと、室町時代のはずですが、消費増税への機運やその他時事の事情により、一気に江戸時代後半に飛びます。(笑)
今回の主人公は、11代将軍家斉(いえなり)です。
15人いる徳川将軍の中で家斉という方は、あまり有名ではありませんね。
初代家康、3代家光、5代綱吉、8代吉宗、そして15代慶喜(よしのぶ)将軍あたりが有名人です。
11代将軍家斉の逸話は、とにかく子沢山だったことです。
家斉はなんと・・・40人の側室と55人の子供をもうけています。
側室数、生まれた子供の数で、歴代徳川将軍の中でダントツの1位です。
別名、オットセイ将軍とも呼ばれます。(笑)
オットセイは、オス一頭に圧倒的多頭のメスで、ハーレムを築きますからね。
まぁ一言で言えば、とてもお盛んな将軍様だったのです。(爆笑)
家斉が将軍に付いたのは15歳の時で、在位期間は50年。
これも徳川将軍の中で、最高在位年数です。
これだけお盛んでしたので、家斉時代の大奥は肥大化し、多大な維持費用が必要となりました。
この時の老中は、あの有名な寛政の改革の松平定信です。
家斉が将軍職に就いた時に、前任者である田沼意次を罷免し松平定信を起用しますが、堅物で質素倹約の松平定信とは意見が対立し始め、結局松平定信も罷免します。
そして、「白河の清きに魚のすみかねて もとの濁りの田沼こひしき」と揶揄された、寛政の改革は終わります。
その後肥大化した大奥の維持や、多くの子供たちの養育や婿入り嫁入り費用の捻出を、家斉はどうやって賄ったのでしょうか?
それは、小判などの幕府発行の通貨の質を、敢えて落としたのです。
小判の金の含有量を、それまでの約半分にまで落としました。
それまでの小判を、新たな質の悪い小判に換えていくことで、幕府は600~800万両という多額の利益を得、幕府の財政は潤うと共に、大好きな大奥の費用も賄えました。(笑)
今安倍内閣で行われている経済政策、通称アベノミクスは、江戸時代にもあったのです。
アベノミクスとは、金融緩和政策ですが、手続きを省いて簡単に言うと、政府発行の国債を日銀が買い取る仕組みです。
ですから、インフレターゲット目標以内であれば、要するに政府はお金を刷れるのです。
インフレターゲット目標2%・・・とか言われますが、市場通過量を増やして、インフレに持っていこうとするものですし、インフレ率を2%の上限にするもので、ハイパーインフレにならないようにするものです。
まぁ、現代の日本で、ハイパーインフレにすることは、事実上不可能なことではありますが。
家斉の政策によって、寛政の改革で火が消えたようになっていた江戸市中は、一気に活気づきました。
歌舞伎や見世物小屋、浮世絵や陶磁器、江戸前寿司など代表的な江戸文化は、家斉時代に花開いたものです。
もちろん、生活物資の値上がり(インフレーション)はありました。
しかし、家斉流金融緩和政策は、在位中ずっと続けられたにも関わらず、結局物の値段は上げ止まりました。
物不足でなければ、ハイパーインフレにはなりませんから、既に物資の供給の良かった江戸時代には、物の値段はそこそこで収まるのです。
現代の日本がハイパー-インフレにはならないのも、物つくりや基本生活インフラが強く、物流の良い日本市場では、物不足になれないからです。
家斉の死後、水野忠邦による、天保の改革が始まります。
贅沢は禁止され、家斉時代に作られた荘厳な寺院なども、「贅沢の象徴」ということで破壊されたりもしています。
民主党時代に、完成間近の八ッ場(やんば)ダムの建設工事を中止したり、公共インフラのもったいない事件がありましたが、今も昔も変わらず、愚かな政治は同様なのですね。
天保の改革は、改革とは名ばかりの、官製のバブル潰しですが、家斉の50年に及ぶ長期の治世は、それまでの日本人を根本から変えていました。
まず、幕府が発行した低質の小判によって、市場通過量はそれまでの2倍になっていました。
これによって日本では、商業が一気に盛んになり、読み書きそろばんのニーズが生まれました。
全国各地に寺子屋ができ、幕末期には識字率世界一の国になりますが、その基盤は家斉の治世50年によるものです。
その後の日本の近代化は、家斉将軍なしでは不可能でした。
幕末期に日本に訪れた外国人が、当時の一般的な日本人を見て驚いたエピソードが二つあります。
それは、普通の婦女子が、暇さえあれば本を読んでいること、そして、一般市民が、とにかくよく笑うことです。
当時の世界では、一般的に女性は字が読めず読書をしないものでしたし、上流階級以外の一般的な市民は生活に終われ、希望のない表情をしていることが、街で見かける風情だったのです。
これは、ヨーロッパの列強諸国であってもそうだったのです。
侵略者であった列強諸国民をして、「このような国は、侵略するに忍びない。」と思わせた・・・と考えるのは、歴史愛好家の中で、私だけでしょうか?
日本の歴史では、あまり有名ではない家斉ですが、家斉が導いた日本の繁栄は、幕末の日本人を、「幸福の国の国民」として世界に認めさせ、当時の日本国民の幸福な姿と神々しさが、列強の侵略の意思をためらわせたと私は思うのです。
日本は今後も、繁栄し続けなければなりません。
現代の三大改革である増税は、断固阻止するべきです。
現代日本人は、家斉の治世に学ぶべきです。