「死期は序を待たず。死は前よりしも来らず。
かねて後に迫れり。人皆死あることを知りて、
待つことしかも急ならざるに、覚えずして来る。
沖の干潟遥かなれども磯より潮が満つるがごとし」
これは、徒然草。
古典の名文である。
死は生の最期に待っているものではなく、
いつも生に寄り添うようにある。
人は、俗事に身をやつしているうちに、
ふと気づくと自分が死んでゆこうとしている。
徒然草を読んだ人でも、
俗事にふりまわされ、富みや名誉のために
時間を喪い、最期は自らの命も失っている。
いかに生きるか。
いかに死ぬか。
私たちに突き付けられている問題です。