いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

永田和宏の秀歌①~いまごろになって~

2019-04-27 10:46:42 | 短歌


永田和宏と河野裕子は、
花壇でも有名なおしどり夫婦だった。
その結婚生活は40年に及ぶ。

2人は、京大短歌界で出会った。

そののち、めでたくゴールインする。

しかし、河野裕子は、54歳で乳がんを宣告され、
手術を受ける。
これは成功したが、
乳がんは、再発したら、
余命を宣告されるようなものだ。
10年後、河野裕子は、逝く。

60歳前後の永田和宏に次の歌がある。

その頃、永田は、河野に自分の歌をほめてもらうのが
よい歌をつくる力になっていたことに気づく。
……

きみが褒めくるるがわれの力だったと気づくいまごろになって

河野裕子の優れた短歌①~余命僅か、乳癌再発~

2019-04-27 10:06:02 | 思い出の詩

高名な歌人、河野裕子は、

54歳の時乳癌を発し、
64歳で亡くなった。
62歳で乳がん再発。
乳癌の場合、再発は、余命を告げられることを意味する。
闘病の歌も、多く残した。

体の自由が利かなくなり、
娘は息子に世話を受ける。

そうしたなかで、
詠われた歌を、
挙げてみる。

……

われを治す抗癌剤はもうあらずヒアフギ水仙また入院す

もう1度の生はあらねば託しおくことばはこの娘に 口述筆記続く

歌はしかし口述筆記ではできぬもの体力が欲し机に向かえる二十分の

やせ果ててわたしは死んでゆくならむあなたを子らを抱きしめし身は

新しい詩⑥~昨日はどこにもありません」~

2019-04-26 19:32:59 | 思い出の詩


「昨日はどこにもありません」

昨日はどこにもありません
あちらの箪笥の抽斗にも
こちらの机の抽斗にも
昨日はどこにもありません

それは昨日の写真でしょうか
そこにあなたの立っている
そこにあなたの笑っている
それは昨日の写真でしょうか

いいえ昨日はありません
今日を打つのは今日の時計

昨日はどこにもありません
昨日の部屋はありません
それは今日の窓かけです
それは今日のスリッパです

今日悲しいのは今日のこと
昨日のことではありません
昨日はどこにもありません
今日悲しいのは今日のこと

いいえ悲しくありません
なんで悲しいのでしょう
昨日はどこにもありません
何が悲しいものですか

昨日はどこにもありません
そこにあなたの立っていた
そこにあなたの笑っていた
昨日はどこにもありません













新つじどう会の作品⑥~令和に向けて~

2019-04-26 19:16:45 | 思い出の詩


毎月一回、辻藤公民館で、
短歌サークルの例会が催される。
会員は5人。
毎月、3首の詠草を発表する。

今回は、
6首紹介すする。

……

友手作りのおでんの鍋を囲みおりぬくもりあふれる花見の宴は

就活の内定知らせる孫の声 混じりて聞こゆ若き等のざわめき

自らの終活のしおり持ちて夫語る聞き入る娘と吾目でうなずきぬ

はるかなる天の国なる園の中 逝きし母あり帰らぬ父あり

ひとへやに老人少年やすらぎて駒音響く 春の夕暮

たまきはるいのちのさきのたゆたいのむねのなかなる春のうき雲

対局日誌72 ~コーちゃんとの対局②~

2019-04-26 19:01:52 | 対局日誌



無料対局道場で数局。

コーちゃんとの対局。
この方は、中飛車党である。
中飛車に関してはベテランだから、なかなか勝てない。
しかし、
「あなたの居飛車が見たい」とリクエストすると、
応じてくれる。

本日第1局。
得意の中飛車できた。
意地を張って、相中飛車。
超急戦で、こちらが踏み込んで
攻撃し、駒得をする。
緩みなく攻めて、
快勝。

第2局。
また、相中飛車。
これは持久戦となり、
押したり引いたり。
お互いに手筋を駆使する。
結果は、わたしが幸いした。

第3局。
今度は、居飛車できた。
相手の注文に応じ、
相腰掛銀。
65角と打たれ、
受けに回る。
一段落ついたところで、
猛攻を仕掛けたが、
詰めろをかけられ、
即詰みに打ち取られた。

コーちゃんとの対局は、楽しい。









名家鑑賞30 ~百歳の猫ムー~

2019-04-25 23:03:42 | 思い出の詩


河野裕子の歌集「蝉声」より。

河野家には、百歳の猫」ムーがいます。

……


四日すればチョッキを買いに行きませう痩せてさむげなこの老嬢に

一匹も子猫を生まずにぼんやりと門外不出のままに百歳

この猫と過ごしし歳われらにはいろいろありきお前だけ能天気

ぼんやりのアホな猫なれど機嫌よし注射うたれてもムーと返事す

猫の呆けに付き合ひ来たりてわたしらも寛容になりゆくおしっこの始末も

新しい詩⑤はかなごと

2019-04-25 22:16:31 | 

「はかなごと」


つひ言ひ出したことはなけれど
言ひ出さねばわからむものか
言ひださむままに
いつしか過ぎぬれば
むかしの思ひは夢のやうにて
唄のやうにて
こころにかかった名も知らぬなやみは
薄いほくろか ほろりと取れける
さびしや

箴言集②~暴力~

2019-04-25 22:06:15 | 箴言


暴力には、力によるもの、
心によるものがあります。
心による暴力は、相手を
受け入れないこと、
疑うことなどで、
だれも知らない、
自分だけが知っている暴力です。
この心の暴力を乗り越えた人は
完成した人です。
恐ろしいのは、
あなた自身しか知らなくても、
相てを無視し、
心の中で殺すこと。

新しい詩④~池に向かへる朝餉~

2019-04-25 21:11:21 | 思い出の詩


「池に向かへる朝餉」

水澄み
ふるとしもなきうすしぐれ
啼く鳥の
鳥のねも日にかはりけれ
ひとり居をわびしといはむ
いくたびか
朝餉の箸をやすませて
魚光る眺めてあれば
なほさだかなれど 一日のうれひを感ず
楽しきことを考へよ
かく思ひ 愉しさにとりすがれども
ちひさき魚は水に消え
かなしみばかりしたしけれ

箴言集①

2019-04-25 21:00:59 | 箴言

①小さなことに欠けないように。ちいさなことが欠けてくると、すべてが崩れていきます。
忠実さの欠けたところから、命全体が欠けていきます。

②言葉にはいのちが刻まれています。

③家族から、周りの人びとから大切にされていること、優しくされていること、
これより大きなプレゼントはありません。

(続)

対局日誌72~T三段との戦い~

2019-04-25 20:43:42 | 対局日誌

本日は、定例の佐伯九段将棋サロンに行ってきた。
今日は、平成最後のトーナメント大会。
3つのクラスに分かれて戦い。

その第1局。

相手は、ライバルのT三段。

彼は、中飛車党(らしい)。
ゴキゲン中飛車できた。
それなら、私もゴキゲン。
ゴキゲン中飛車対策は、バッチリ。

さて。

定跡通りに来れば、研究範囲内である。

ところが。

はやくも6手目に仕掛けてきた。
ふむ。
これでは、定跡の知識が役立たない。

で、ものすごい急戦に。

9手目に53飛車と打ったつもりが、
なんと角を打ってしまった。

それでも勝負に持ち込んだ。

相手の銀得に対し、
馬を作って対抗。

しかし、
序盤の一手の失着が響いた。

無念の投了。

彼は、準優勝に輝いた。

感想戦は30分に及んだ。

負けて悔しいけど、
はないちもんめ。











新つじどう会の作品⑤~自然~

2019-04-23 23:12:09 | 短歌


~新つじどう会の作品~


黒椿 すずめのつがい日ごと来て あはれ花心は餌にかはりぬ

わが夫はハシビロコウのごとくなり炬燵に入りじっとお茶待つ

青白きスーパームーン眺めつつ「月白」といふ釉薬のあり

しんしんと時雨の中に父といて軽くひびきぬつげ駒の音

あらそいは教会の中 襲いおり「災害鑑賞人」とは自称できぬ日々

老いのゆえ受け入れられぬ友のいて助け舟さへ出せぬわれをさいなむ

新しい詩⑤~乳母車~

2019-04-23 22:53:21 | 

「乳母車」

母よーー
淡くかなしいもののふるなり
紫陽花色のもののふるなり
はてしなき並樹のかげを
そうそうと風のふくなり
時はたそがれ
母よ わたしの乳母車を押せ

赤い房あるビロードの帽子を
つめたき額にかむらせよ
旅いそぐ鳥の列にも
季節は空をわたるなり

淡くかなしきもののふる
母よ 私は知っている
この道は遠く遠くはてしない道

新しい詩④~青い葉が出ても~

2019-04-23 22:44:27 | 思い出の詩



「青い葉が出ても」

はなが咲いたよ
はなが散ったよ
あま雲は駆け出し
蛙は穴からひょっこり飛び出す
やあれやあれ
はなが散ったよ
青い葉が出たよ
青い葉が出てもとんまな人からは便りさえないよ
女だてらに青い葉が出ても
やあれ青い葉が出ても
ちょいと意地を張ったよね

新しい詩③「人に」

2019-04-23 11:27:20 | 

「人に」


遊びじゃない
暇つぶしじゃない
あなたが私に会いに来る
ーー書も書かず、本も読まず、仕事もせずーー
そして2日でも、3日でも
笑い、戯れ、飛び跳ね、又抱き
さんざん時間をちぢめ
数日を一瞬に果たす
ああ けれども
それは遊びじゃない
暇つぶしじゃない
満ちあふれたわれらの余儀ないいのちである
生である
力である