会いたい人に会いたくてたまらない気持ちでいると、突然見知らぬ人が訪ねてくる。
「こんにちは。風邪です」
こうしてぼくは風邪をひき、会いたい人に会えないままでいる。
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「今日は、生まれてはじめてひとりで外食するんだ。
バーニャカウダ、お腹いっぱい食べるぞー!」
少年は、平沢官衙遺跡の横にある、観光客向けの食堂に入っていく。
席につきメニューを見て、少年は心変わりしてしまう。
やっぱり、バーニャカウダよりブルスケッタにしよう、と……。
終
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静まりかえった真夜中の住宅街を、ある青年が自転車で走る。パーカーのフードをすっぽりとかぶって、うつむき加減で。
走りながら、縄文時代の用水路について思索している。
いったいどのように作られ、どのような構造をしていたんだろう……と。
彼は、仕事をしながら、用水路の歴史について研究している。
部屋で本を読んだりしてばかりだと息が詰まりそうになったりする。そういうとき、彼は気分転換にと、こうして自 . . . 本文を読む
係長の交通費二重請求の証拠を摑んだぼくは、大洗港から小型ボートで海へ出る。
東へ12キロ、そして西へ10キロほど行ったところで、突然ボートが爆発する。
ぼくは吹き飛ばされ、海面に叩きつけられてしまう。
薄れゆく意識のなか、おそらくあれは係長がエンジンに細工でもしたのだろう…と考える。
……ぼくの身体は、じょじょに暗い海の底へと沈んでゆく。
水深約50メートル。
そこに脱獄は100パーセント不可 . . . 本文を読む
カルピスウォーターを求め、山から人里へ下りてきた野犬が、某有名私立高校の男子バレーボール部の顧問に就任する。
学校から多額の契約金をせしめた野犬は、高級外車を買い、街へと繰り出す。
カルピスウォーターと将門煎餅を、いつでも口にできるようにと、助手席に置いて。
「もうオレは山には戻らない……
あんなつまらないところへ戻ってたまるかッ!
オレはもっと大物になってやるんだ‼︎」
叫びながら、右 . . . 本文を読む