めざめていても夢はみる

ぼくはいつまでもさまよいつづける、
夜が明けても醒めない夢のなかを…

連載『夢からさめる』第1話

2014-11-21 20:45:37 | 連載駄文


結構すっきりした気分だった。

身体が少し重く感じられるようにはなったが、心はとても軽い。こうなると、心は空っぽになるらしい。
心が空っぽ……なんて素敵なことだろう。
もうなにも煩わしい思いをする必要もないし、なんの心配事もない。




けれど、失ったものは多く、そして、そのどれもがぼくにとって、命よりも大切なものだったと思う。
大袈裟でなく、本当にそうだった……うん、そうだった。




だとしても、それも昨日までの話。

失ったものに対して、たしかに未練はあった。あったけれども、それはすぐに消えた。
なににも縛られなくなったいまのほうが、良い。心からそう思えたから。空っぽになってしまった心でも、強くそう思えたんだ。


うん……

ぼくは本当に自由になったのです。


ある朝、ある住宅街のど真ん中にある、どこにでもあるようなつまらない公園で、男が倒れているのが発見された。


つづく





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