中学1年の時、萩尾先生のポーの一族に出会って以来、ずっとファンでした。ポーの一族や、11月のギムナジウム、トーマの心臓が10代の私の心を作ったといっても過言ではないと思います。
その萩尾先生の語る大泉の話。コピーを読んで、若い時代ならではの辛かったことも書かれているんだろうなあと想像はしてたけれど、読み終えて、こんなに心に重く残るものだとは。
キャベツ畑に囲まれた家での萩尾先生たちの生活は、当時の読者の憧れでもありました。
知ってよかったのか、知らないままのほうがよかったのか、なんとも言えません。
でも萩尾先生の苦しみと痛みは、もう忘れられません。今、こうして本にして世の中に出すということにも覚悟があったと思います。
イギリスに留学されたときの毎週のエッセイもとても楽しみにしてて、帰国されてからの「トーマの心臓」も本当に夢中になって読んでいました。この頃ファンレターを送ったら、エーリクを描いたハガキをいただいて、「どうかアンケートを出してください!」って悲鳴のようなコメントが書いてあって、今思うと切羽詰まってたんだなあと思いました。当時はまさかそこまで危機感があるとは想像できなかったけど。
萩尾先生が漫画家を目指す読者向けに「まんがABC」という漫画を描かれてて、それを読んだ時、漫画家ってこんなに苦しみながら、作品を生み出すのか!とものすごくショックを受けたのを思い出しました。また、この「まんがABC」は、大切に持っていたんですが、もう手元にありません。高校の時、萩尾先生のファンという繋がりで友達になった子がいて、とにかく会う度に萩尾先生の漫画について語り合ってた。でも友達グループは別だったので、そんなによく会う関係ではありませんでした。彼女にこの作品を貸していたんですが、彼女が突然自殺してしまって、それきりに。なぜ自殺したのか?その時は、好きなものがこの世にあるのに、死を選ぶということが信じられなかったです。
そんなこともこの本を読んで、思い出しました。