ナナ日記

ミニチュアダックスのナナは16才9ヶ月で虹の橋を渡って行きました。
この頃は庭仕事と時々読書。歴史好き。

『スプラッシュ・ホーリー』神谷凪

2006年02月22日 | BL本感想とか
どんな人間にも、忘れられない夏があるんじゃないかと思う。

夏のはじまりは、淡いグレイだ。朝露に濡れたあじさいの葉先から、まろやかな水滴がつうと滑って、燥いたアスファルトの上に弾ける。・・・


こんな書き出しで始められたら、もうそれだけで魅せられてしまうなあ・・という小説です。
古本屋で金ひかるさんの表紙に惹かれ、何気に買ったんですが、自分の「好き」のまさにど真ん中という感じでした。1999年2月発行。夏の話を冬に読んじゃったなあ~と思っていたら、冬の発行だったんですね。
神谷凪さんって、榊花月さんの別名だと聞いたことあったんだけど、もし1999年にこれをリアルタイムで読んでたら、即榊さんのファンになってたでしょう。
榊さんの小説って、時々「もうこれは私のために書かれたような小説だ」とかまで思ってしまうくらい好きな時があって、そういう作家さんがいることが幸せと思える方です。わけのわかんないあとがきで興がそがれてたこともあったけど、今はまともになってきたし(すみません

転校生の天羽がかわいくて、きれい
傷ついた心を癒すように斉木にカラダを与えておいて、そのくせ過去の男が忘れられなくて、また傷ついて・・。
最後、電車に乗って去っていったと思った天羽が帰ってきたシーン。
エッと思ったけど、多分一人で旅立とうと思っていた駅に斉木が来た瞬間に、天羽の気持ちは過去と決別できたんだろうなあと思いました。

夏の色が残像のように残る小説でした。

古書店めぐり・・・やめられないわ
まだまだ私の知らない素敵な作品がヤマのように私を待っているんですね!

スプラッシュ・ホーリー
神谷 凪著プランタン出版 (1999.2)この本は現在お取り扱いできません。


↑表紙イラストが見れなくて残念。古い本だから仕方ないけど。
kaedeさんが書評を書いておられて、「シャッキとしない斉木」という表現に笑ってしまいました。確かに!