着付けの気づき

着付けの個人教室を行っている先生が、着付や着物に対するこだわりの思いを中心に語ります。

手作りの着物、思い出の縫い合わせ

2009-04-25 13:35:23 | 出張着付
もう1ヶ月程前になりますが、3月18日、私の次男の小学校卒業式がありました。
その日までに
「何とか自分で訪問着を作ろう!」
とチクチク針を動かしていましたが、式の二週間前に漸く完成させることが出来ました。

和裁の先生に教えて頂きながら仕上げましたが、そもそも訪問着を作成するなどということは私にとって初めての経験で、絹物を縫い合わせていくことがこんなに難しいものとは正直思いませんでした。
普通、和裁師を養成する学校などでは、まず運針の練習から入り、肌着、浴衣、ウールの着物、モスリンの長襦袢、絹の長襦袢、単の絹の着物をそれぞれ数枚作るというお稽古を積んでやっと絹の袷の着物というように進んでいくものらしいのです。ところが私の先生は、
「折角お子さんの卒業式というような着物を着る機会があるなら、それに向けて訪問着を作ったらどう? 運針は十分出来るようだし。大変だとは思うけど、私が応援するから」
とおっしゃってくれました。少しでも和裁の知識があれば、そんな考えは無謀なことと思うのかも知れませんが、そこは知らぬが仏、私も確かにその方が俄然やる気が出るしと、チャレンジすることを決意しました。

馬喰町にある某呉服卸店のバーゲンで、気に入った色とデザインの布を破格な値段で手に入れるところから始まり、縫ってはほどいて、お直しの繰り返し。
「♪三歩進んで二歩下がる~♪」
と歌いながら、お直しの繰り返し・・・
「でも確実に一歩は進んでいるんだから」
と先生に励まされながら、お直しの繰り返し・・・
やっと仕上がった着物を羽織ってみた時には、先生とお仲間からよく頑張ったと拍手が起こりました。
「本当に嬉しい!」
思わず私も自分で拍手をしていました。
でも私自身の頑張りを褒めてやりたい気持ち以上に、先生への感謝の気持ちで一杯になりました。本当に良く励まして頂きました。そして根気良く教えて下さいました。どうも有難うございました。

家に帰って、
「息子よ、君の卒業式にこの着物を着ていくよ」
と見せると、
「母さん凄いね。やっと出来たね!」
と息子。
何かを感じてくれているのでしょうか?

そして式当日、絶好の晴天に恵まれて式を迎えることが出来ました。
感無量。この着物に思い出がしっかり刻みこまれました。これからこの着物にどんな思い出が縫い合わされていくのでしょう。

川口着付個人教室
 http://www.wbcs.nir.jp/~yoko/

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