新しい地主のU様はJ不動産会社の経営者で
すでに落札後2度、当店にお見えになっていますので
今回は相手を知る意味も兼ねて
定休日の3時過ぎの空き時間を利用して
U様の事務所を訪問することにしました。
交渉ゴトの場合、こうして相手の“城”に乗り込むことは
言うなれば周り中が敵(相手の味方)になりますから
気持ちの上で後れを取ったりして
相手のペースになりがちですから注意が必要です。
新車営業マン時代、当時はほとんどが訪問販売でしたから
そのお宅に上がりこんでの商談になるのですが
ご本人夫婦はもちろん、お爺ちゃん、お婆ちゃん、お子さん
場合によってはニャンコやワンコでさえお客様サイドの“一群”なのですから
それらに囲まれての孤軍奮闘を強いられることになります。
ただ、その生活環境から“人となり”をより理解することができますし
また「1度帰って相談します」とか「資料を持ってこなかったから」と
その場で結論を出さずに逃げ易いことはメリットです。
相手に帰れとは言えませんが
自分が帰るとはいつでも言えますから。
すでに3度目の顔合わなのに新しい契約内容は未だに提示されず
世間話をしながら2時間に渡り“私の腹を探ること”に終始した理由は
隣接地と合体させて当店敷地を売却する思惑を持っているからと推測され
そうかと言って、H16年に制定された法律
つまり、「6ヶ月間の猶予期間を設けて競売物件の占有者を
強制退去させられる法律」は当店の場合は“適用されず”
払うものを払えばここに居続けることができるわけで
そうなるとU様の目論見が崩れてしまうからなのでしょう。
もっともご本人は、堅実な賃料収入を図っているだけで
売買に伴う手数料収入は狙っていない、とおっしゃっていますが…。
U様もこのブログをお読みになっているかもしれませんので
残念ながら包み隠さず私の腹の内を明かすことはできませんが
H16年の法律制定の基になり、当時問題視された
「高額な立ち退き料を要求して落札物件に居座ることができる立場」に
期せずして置かれてしまったことは確かなようです。
そうは言っても、僅か5年間だけ離れたことはありますが
あとの55年間は暮らしているこの故郷で
世間様から後ろ指を指されることは言うつもりもするつもりもなく
もちろんU様にもそうして欲しいと願うばかりですが
ごく常識的な“落とし所”を探ることになるのでしょう。