保護猫活動する隠居爺の野菜作りとスキーの日記そして病気の記録

冬場の60日以上はスキー、夏場はそのための体力作り&自給用野菜作り、そして保護猫活動と病気の記録も綴ります。

ある医師のインフォームドコンセント(抜粋・一部加工)

2012年01月25日 | 肺炎の怖さ(義母死去の経緯)

(インフォームド・コンセント)

正しい情報を得た(伝えられた)上での合意を意味する概念。

医療行為(投薬・手術・検査など)においては
患者が治療の内容についてよく説明を受け十分理解した上で
自らの自由意思に基づいて、医師を含む医療サービスの提供者と方針において合意することです。

単なる「同意」だけでなく、説明を受けた上で治療を「拒否」することも含まれています。

説明の内容としては、対象となる行為の名称・内容・期待されている結果のみではなく
代替治療・副作用や成功率・費用・予後までも含んだ正確な情報が与えられることが望まれます。

また、患者側も納得するまで質問し説明を求めなければなりません。


(高齢者肺炎のインフォームドコンセントの注意点)

・肺炎と診断した根拠と、どういう治療をするのかを分かり易く説明する。
・原因菌の確定前に、治療を始めて効果を見ながら変更していくことを説明する。
・外来で治療するか、入院して治療するかの検討。
・理解判断能力の低下した高齢患者への配慮。
・終末期においては肺炎の積極的な治療をしないという選択肢もあり得る。

 

(治療効果が出ないときの説明)

原因菌の決定を基にして適切な抗生物質療法をやっても、治療効果がでない場合があります。

高齢患者では、患者自身の免疫力が落ちて治療効果が出ない場合や
誤嚥性肺炎を繰り返す場合、肺がんなどによる閉塞性の肺炎の場合などは
ある意味、終末期と見られ、どこまで積極的な治療を続けるかについては、難しい倫理的な問題を含んで来ます。

「人工呼吸器をつければ、呼吸は楽になるかもしれませんが
意識を低下させるような薬を使うことになり、色々話すことは難しくなるかもしれませんが、どうしましょうか」と
最期の時期にどのような治療を患者が望むのかという確認は必要です。

古い西洋の諺に「肺炎は老人の友」という言葉があり
静かで苦しみも感じない大往生の形で最期の時を迎える高齢患者も少なくないのです。

肺炎の終末期医療において
積極的な肺炎の治療をしないことは患者・家族を見放すことではありません。

「肺炎の治癒は難しいかもしれないが、苦痛を取ることは最大限行っていきますから」というように
患者家族を支える言葉も大事なのではないかと思われます。

 

(意思決定能力の確認と事前指定・代理決定)

前記のように高齢の肺炎患者では、痴呆などの疾患だけでなく
低酸素血症や高炭酸ガス血症により理解力や判断力が低下してくることがあります。

微妙な意思決定能力の評価は精神科医に依頼することになりますが、一般的には
(1)検査・治療方法が判る理解能力
(2)自分なりの根拠によって選択できる評価能力
(3)その選択を伝える伝達能力
があれば、意思決定能力があると判断してよいでしょう。

ある期間をおいて再確認できれば、決定の信頼性は高まります。

病状が悪化して意思決定能力が低下する場合に備えて
自分なりの治療についての意志表示をする「事前指示書」や
代理決定する人を決めておく「事前指定書」を作る病院も出てきています。

いずれにしろ、患者の意識がなくなる前に
どのような最期の日々を迎えたいかということを話しておくことは担当医の重要な仕事です。

また、そのようなものを残さず意識低下状態に陥った場合には
患者の関係者による「代理決定」がなされることになりますが
患者本人の意思を推察できる人による代行判断を仰ぐことになります。

これも難しい場合には
患者の関係者によって自分たちが患者の状況だったらどう望むだろうかという
最善の利益を考えて治療方針を決定していくことになります。

 

(代理決定を求めても、家族間で意見が別れたらどうするのか?)

家族などが代わりに意思決定をする場合、患者本人の意識があった時の言動をよく知っていて
その思いを代弁できる人による代行判断が優先されますが、どうしてもそれが難しい場合
自分がその立場だったらどうして欲しいかという最善利益の視点から関係者が協議することになります。

このような場合、医師からは
「患者さんの意識があったとしたら、どうされたいと思われるでしょうか?」などと尋ねながら
この患者さんがこれまでどのような人生を送って来られたかを訊くようにすると
決定の方向が何となく見えて来ますし、代理決定する人の精神的負担の軽減にも繋がることが多いのです。

医師から「この方法が良い」などと強く奨めることは控え
何よりも声が大きいなどのキーパーソンの考えだけで決定することは避けなければなりません。

とにかく、充分に家族の思いを聞くことには時間をかけるべきです。

特に、状況が悪化し呼吸不全で人工呼吸器を付ける場合など、医師としては
早急に結論が欲しくなりますが、ある程度の家族内のコンセンサスが出る前に治療を決定すると
後々まで家族内のしこりを残すことにもなりますので注意しなければなりません。 

 

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