春節から一夜明け、新年2日目となる11日は、嫁いだ娘が里帰りする中華社会の伝統「回娘家」の日だ。各地は、まだ帰省ラッシュに加え、年越しを終え行楽に出かける人たちで朝からごった返している。
古くは、この日の朝には妻の実家から男の兄弟やいとこなどが嫁ぎ先に迎えに出向き、実家までの道を案内したという。表向きは嫁ぎ先に礼を尽くすためとされていたが、いったん嫁入りしたらなかなか実家には戻れなかった時代、舅や姑が嫁の里帰りを邪魔するのを防ぐためだったとも伝えられる。娘はその日のうちに嫁ぎ先に戻るのが決まりごとだったようだ。
夫の両親とは同居しない核家族が一般化し、結婚後の娘が日常的に実家に出入りすることが当たり前となった今も、「回娘家」は健在だ。多くの人が、夫の実家で新年を迎え、翌日には今度は家族総出で妻の実家に向かう。毎年「回娘家」は春節期間中二回目の大移動が発生する。
最近では春節中でも通常通り営業する商店が目立ち、一家団らんの年越し料理も外注やレストランで済ませる人が増えるなど、ここ十数年で春節風景も様変わりしているが、「回娘家」の伝統は変わることなく受け継がれている。