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とき 第一帝政10年早春
ところ ランス・フォンテーヌブロー宮殿
登場人物 ボナパルト・ナポレオン フランス皇帝
ピエール・ニコル 皇帝付きソムリエ兼シェフ
久しぶりの狩猟で雉を射止めたが毎度のジビエ(gibier)料理にはやや食傷ぎみの今晩のボナパルト・・・。
「ピエール、なんぞ海の幸で美味いものはないか。」
「はい皇帝閣下、日本国より団扇海老なる美味なる甲殻類が届いておりますが、お召し上がりになりますか?」
「なにジャポンとな。それは楽しみじゃのー。早く持ってまいれ。」
「これでございます。まだ活きております。」
「なんと尻尾をばたつかせて元気なやっちゃで。それにしてもけったいな形じゃな。裏側はまるでSF映画エイリアンの子供みたいではないか。まー格好はどーでもよろしい。早く調理してまいれ。」
料理が出来上がるまで立ち上がる泡と音をめでながら暫しシャンパンを楽しむボナパルト。
「閣下、お待たせいたしました。ヴォアラ!まずはスープでございます。ボンアペティ!」
「・・・・ウーーーーン・・・・」
「如何でございます。」
「(男は黙って)・・・・・・・うまいんだなこれが。」
「見事な出来じゃのー。」大きな鼻を近づけ香りを利きわけた後、再びスープの味を確かめる皇帝。
「これはどーじゃ。素材の醸し出す淡白な甘みに得も云われぬ海の幸のうまみのエッセンスが加味されておるぞ。かつおのような。こんぶの香りもかすかではあるが・・・。ピエール、なにか隠し味でも使ったのか。」
「皇帝閣下、さすがでございます。団扇海老とともに日本国より送られてきました秘密のだしをちょと使ってみたのでございます。」
「秘密のだしとな。わしの贔屓にしておるパリ16区の三ツ星レストラン “Jamin”のジョエル・ロブションが造るオマール海老のスープに勝るとも劣らない味ではないか。これはロブションにも教えてやらないといかん。ピエール、お前も近頃とみに腕を上げたではないか。」
「お褒めいただきありがたき幸せに存知ます。」
「皇帝閣下、閣下は料理評論家としても超一流でございます。」
「あたりまえじゃ。余の辞書に不可能の文字はないと云うことを知らんのか。」
「恐れいりました。」
スープの後はメーンディッシュの団扇海老の蒸し物、刺身とフルコースは続く・・・。
予期せぬご馳走にすっかりご機嫌のボナパルト。自分の名前をつけてちびりちびりとやっていたとっておきのコニャックのせいでかなり酔いが廻ってきた様子。
「ピエール。今晩はご苦労じゃった。もー下がってよい。」
さて、皇帝の寝室では・・・
「お~愛しのマリー・ルイーズよ。長く待たせてすまんかった。今夜の団扇海老は姿からして精がつきそーじゃった。今晩は頑張るけんね。」
配役 ボナパルト、ピエール(一人二役) 僕
(おまけ)
皇帝に褒められたピエール 特別にレシピ公開しちゃいました。
ピエール ニコルのお料理メモ
団扇海老のスープ
●材料 2人分
さっぱりだし
団扇海老…2匹 ただし身のある尾の部分は別の料理に使うので頭部と尾の殻のみ使用
大根(飾り用)…適量
人参(飾り用)…適量
お酒…少々
塩…少々
●作り方
(1)500~600mlの水を鍋で沸騰させ、だしパック1袋を入れ、
3~5分煮出して、だしパックを取り出します。
(2)スープ皿2杯分のだし汁を鍋に取り、火にかけます。
(3)(2)に、団扇海老の頭部と尾の殻と、
5mmくらいの厚さに輪切した大根と人参を入れ、
軽く煮立て、アクを取ります。
大根と人参は、梅の花の型などで型抜きすると、きれいです。
(4)お酒、塩、好みで醤油を少量入れ、味を調えて出来上がり。
今シーズン3度目の団扇海老フルコースでした。
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とき 第一帝政10年早春
ところ ランス・フォンテーヌブロー宮殿
登場人物 ボナパルト・ナポレオン フランス皇帝
ピエール・ニコル 皇帝付きソムリエ兼シェフ
久しぶりの狩猟で雉を射止めたが毎度のジビエ(gibier)料理にはやや食傷ぎみの今晩のボナパルト・・・。
「ピエール、なんぞ海の幸で美味いものはないか。」
「はい皇帝閣下、日本国より団扇海老なる美味なる甲殻類が届いておりますが、お召し上がりになりますか?」
「なにジャポンとな。それは楽しみじゃのー。早く持ってまいれ。」
「これでございます。まだ活きております。」
「なんと尻尾をばたつかせて元気なやっちゃで。それにしてもけったいな形じゃな。裏側はまるでSF映画エイリアンの子供みたいではないか。まー格好はどーでもよろしい。早く調理してまいれ。」
料理が出来上がるまで立ち上がる泡と音をめでながら暫しシャンパンを楽しむボナパルト。
「閣下、お待たせいたしました。ヴォアラ!まずはスープでございます。ボンアペティ!」
「・・・・ウーーーーン・・・・」
「如何でございます。」
「(男は黙って)・・・・・・・うまいんだなこれが。」
「見事な出来じゃのー。」大きな鼻を近づけ香りを利きわけた後、再びスープの味を確かめる皇帝。
「これはどーじゃ。素材の醸し出す淡白な甘みに得も云われぬ海の幸のうまみのエッセンスが加味されておるぞ。かつおのような。こんぶの香りもかすかではあるが・・・。ピエール、なにか隠し味でも使ったのか。」
「皇帝閣下、さすがでございます。団扇海老とともに日本国より送られてきました秘密のだしをちょと使ってみたのでございます。」
「秘密のだしとな。わしの贔屓にしておるパリ16区の三ツ星レストラン “Jamin”のジョエル・ロブションが造るオマール海老のスープに勝るとも劣らない味ではないか。これはロブションにも教えてやらないといかん。ピエール、お前も近頃とみに腕を上げたではないか。」
「お褒めいただきありがたき幸せに存知ます。」
「皇帝閣下、閣下は料理評論家としても超一流でございます。」
「あたりまえじゃ。余の辞書に不可能の文字はないと云うことを知らんのか。」
「恐れいりました。」
スープの後はメーンディッシュの団扇海老の蒸し物、刺身とフルコースは続く・・・。
予期せぬご馳走にすっかりご機嫌のボナパルト。自分の名前をつけてちびりちびりとやっていたとっておきのコニャックのせいでかなり酔いが廻ってきた様子。
「ピエール。今晩はご苦労じゃった。もー下がってよい。」
さて、皇帝の寝室では・・・
「お~愛しのマリー・ルイーズよ。長く待たせてすまんかった。今夜の団扇海老は姿からして精がつきそーじゃった。今晩は頑張るけんね。」
配役 ボナパルト、ピエール(一人二役) 僕
(おまけ)
皇帝に褒められたピエール 特別にレシピ公開しちゃいました。
ピエール ニコルのお料理メモ
団扇海老のスープ
●材料 2人分
さっぱりだし
団扇海老…2匹 ただし身のある尾の部分は別の料理に使うので頭部と尾の殻のみ使用
大根(飾り用)…適量
人参(飾り用)…適量
お酒…少々
塩…少々
●作り方
(1)500~600mlの水を鍋で沸騰させ、だしパック1袋を入れ、
3~5分煮出して、だしパックを取り出します。
(2)スープ皿2杯分のだし汁を鍋に取り、火にかけます。
(3)(2)に、団扇海老の頭部と尾の殻と、
5mmくらいの厚さに輪切した大根と人参を入れ、
軽く煮立て、アクを取ります。
大根と人参は、梅の花の型などで型抜きすると、きれいです。
(4)お酒、塩、好みで醤油を少量入れ、味を調えて出来上がり。
今シーズン3度目の団扇海老フルコースでした。
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