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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
「ええっ、すぐ警察に連絡しなさい!
何でそのまま連れて行かなかったの!」
竹が光っていて、鋸持って、と説明するが、一向に通じない。
「私をからかっているの?
馬鹿な事、言ってないで、早く寝なさい!」
ガチャーン。
いくら、Oさんとて、電話だけでは、
とても信じてはくれまい。
どうしたものか、と頭を抱えている時だった。
女の子が泣き始めた。
可愛い声だ。
近所にまでは届かないだろう。
赤子が泣けば、ミルクか、おしめ。
これでも、三人の父親である。
幸いおしめは濡れてなかった。
とすると、ミルクだ。
もう夜の11時前。
しかしながら、最近では、
こんな田舎町でも、深夜営業のスーパーが増えてきた。
どこかに粉ミルクは置いているだろうと、サヤカに跨がる。
子供を泣かせたまま、
外に出掛けるのは気がひけたが、
連れて行くわけにもゆかないので、
そのままにしておく。
鼠やゴキブリに襲われないように、
洗濯物入れ用の篭の中に入れ、
フタに重しを乗せてゆく。
ありがたいことに、2件目のスーパーに粉ミルクはあった。
哺乳ビンは下の子に使ったものが取ってあった。
乳首にあたる、ゴムの所は、少々黒ずんではいたが、
熱湯消毒したので大丈夫だろう。
沸騰した湯で、粉ミルクを溶き人肌の温度になるまで、
水道の蛇口で冷やしてやる。
ふと昔を思い出す。
上の二人に、数年間してやったことだから、
手慣れたものだった。
名前は香久やま姫と決めた。
かぐや姫では二番煎じ出し、
かといって、親戚みたいなようなものだから
似た名前で呼ぶことにした。
結論としては、私一人が呼ぶのだから、何でもいいのだ。
姫にミルクを与える。
しまった!
つづく