死体の処置に困ったら：スモール・アパートメント ワケアリ物件の隣人たち(2013)

Small Apartments(2013)

頭の弱い青年が大家の死体を処理しようと右往左往する劇場未公開クライムムービー。と簡単に書いても面白そうなのだが、実際相当面白い。一般的には評価低いみたいだけど。どんどん状況があさっての展開になるコメディが好きな人には超お進め。

主人公はスイスでホルン吹きになる夢を持つ30歳のさえない男フランクリン。デブで頭も悪いしたった一人の家族の兄は精神病棟に入院している。そんな彼に災難が・・・大家を殺してしまったのだ！この主人公のアホさに笑って呆れているといつの間にかこの主人公を応援している。アホで救いようがない、人から馬鹿にされ蔑まれるだけの人生だったであろうフランクリンは子供のように純真で繊細な心を持っている。・・・負け犬だって夢見る権利がある、きっと最後にはハッピーエンドになる、なってほしいと心配しながら見ている自分に気づくのだ。

この映画はミニシアター系だけど見知った顔の俳優が豪華に揃い、どの役も適材適所。怪優ピーター・ストーメアは大家役。枝葉も含めストーリーに無駄がなく、とても良くできている。最近のヒットしたあからさまな下ネタだけで笑わせようとするアメリカン・コメディよりずっとこちらの方が面白いし、見終わった後の気分は悪くない。アメリカ映画だけどスウェーデン人ジョナス・アカーランド監督のためか、グロ題材ではあってもヨーロッパ的な品格と人間味みたいなものを感じる。ミッシェル・ゴンドリーみたいな。