イチゴが踊る。：アクロス・ザ・ユニバース(2008)

Across The Univers(2008)

苺はみずみずしく、甘くてちょっと酸っぱくて、可愛くて繊細で色鮮やかで、それでいて個性的。「フリーダ」で独特の映像美を見せてくれたジュリー・テイモア監督の、まるで苺の様に新鮮で愛らしいミュージカル。

６０年代ベトナム反戦運動に揺れるニューヨークで、父を捜しにアメリカにやって来たリバプールの青年と、上流階級のアメリカ人の女の子のラブストーリー、全編に流れるのは３３曲のビートルズソング。ってだけなら私、見に行かなかったです。しかし予告編を見てとっても素敵な映像だったので絶対見なきゃ！と。この映画、最初から最後までビートルズで歌うわ踊るわ、まるでミュージカル。（注：これはミュージカルですって！）ビートルズの曲に詳しくなくても、もちろん聞いた事の有る曲が多いこと。ストーリーの内容にあわせて登場人物が歌うのですが、またこれがみんな歌が上手いし、素晴らしいのです。期待を遥かに超える映画でした。


ジュード（ジム・スタージェス）、うしろがマックス（ジョー・アンダーソン）。

濡れたような大きな黒目に子供のような頼りない表情のジュード（ジム・スタージェス）が豊かで奥行きの有る、良い声なんですよね。対照的な、活発でワイルドなジェイドの友人マックス（ジョー・アンダーソン）も、見かけと同じくちょっとラフな良い声です。またこのマックスはベトナムに行って神経を病んで帰ってくるのですが、病院で歌う「Happiness Is a Warm Gun」で、セクシー看護婦サルマ・ハエックが何人も出て来てビックリ。そういや怪しいおっさんでボノも出てるし（しかもアメリカ訛）、ジョー・コッカーなんて七変化して歌ってますし。映画のラスト近く、マックスが歌う「ヘイ・ジュード」では泣きましたとも。映画のストーリー、俳優の演技と重なって曲の持つ力は倍増される、これこそミュージカルの醍醐味。ロックに限らず音楽が好きな人には問答無用でおすすめしたい、素晴らしい新感覚ミュージカル。


まるで全編PVみたいな作りの映画。そこは好き嫌い分かれるかも。

主人公のジュード（ジム・スタージェス）は最初カサビアンのトムかと真剣に思ったです。どうやらああいう顔に弱いですわ。

見るたびに泣ける・・「ヘイ・ジュード」。歌うのは映画「コントロール」でベースの人やってたジョー・アンダーソン。この人もいいですねぇ。