ORGANIC STONE

私達は地球を構成する生命を持った石に過ぎないのですから。

古典的技法と幻想が出会う絵画:ドナト・ジアンコーラ

2007-07-21 14:35:05 | アート:写真・イラストレーション他
Donato Giancolaは、古典的絵画の要素を取り入れたファンタジー・アートで有名な1967年生まれのアメリカの画家/イラストレーター。主に雑誌や本、MtG(トレーディングカードゲーム)などで仕事をしています。SFやファンタジーをテーマに活動している「ファンタジー・アート」のカテゴリのアーテイストなのですが、ペインティングでBFA(Bachelor of Fine Arts)を持ち、メゾナイトのボードに貼ったペーパーにオイル・ペインティングという手法や、レンブラントやルーベンス、ベラスケスと言った欧州バロック期(16世紀から18世紀)古典的巨匠からの影響が濃い、格調高い作風から、そこらへんの筋肉&お色気「ファンタジー・アート」とは一線を画しています。なによりも絵から物語が伝わってくるような創造性と、その技術的クオリティの高さは素晴らしいです。

トップの"The Goldn rose"。黒い服の人物は人間なのか、人魚なのか男か女かも分かりませんが、たった一枚で雄弁な物語性を感じられるこの絵は、今年出たKathleen Bryanの「The Serpent and the Rose」シリーズ「The Golden Rose」という本のためのイラストとのこと。一番気に入った彼の作品。下2人は人魚ですよ?しかも凄くリアルで、怖いですね。私は魚好きなので、思わず「この人たちどんな味だろう」と想像してしまいました。鮭やマスっぽいです。(グラスバレーのPVじゃないんだから・・古!)

私が彼の作品を知ったのは、偶然見つけたLotRのボロミアのポートレート。今でこそショーン・ビーンのイメージが強いですが、この絵のボロミアはより原作のイメージに近いような気がします。生真面目で頑固そうな雰囲気の中に、どことなく不安げな瞳。少々お坊ちゃんな感じも。サイトのこの絵の説明には何も無く、バイオグラフィには指輪物語の本のカヴァーや、トレーディングカードの制作経歴がありますので、そのうちの一作品かな、と思います。この方のサイトを見ると、モデルを使用しています。この絵も多分、彼のボロミアに近いイメージのモデルを使用して、彼のイメージを加えて完成させているのですよね。ちなみにDonato Giancolaは、ポートレイト(肖像画)も得意としています。同じくボロミアでもう一つ、広場噴水前に立つ絵もいいですよね・・・


↑2005
"Boromir in the White Mountains"

↑Collectable Card Game
"Boromir in the Court of the Fountain, Minas Tirith" 映画でもこのくらいの着て欲しかったです。

Donato Giancola


↑参考までに、スペインの画家ベラスケスの鏡の前のヴィーナス。バロック期の巨匠ベラスケスもカラヴァッジオも、神話や伝説を題材にした絵を描いていますから、Donato Giancolaの描く絵画もなんら変わりないのですよね。


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10 コメント

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Unknown (c.mama)
2007-07-21 22:45:31
このボロミア素敵です。「そんなに見つめないで~」と照れてしまいます。
以前は古典絵画は苦手だったんですが、最近、とても惹かれます。国立西洋美術館の「ドレスデン国立美術館展」でフェルメールの「窓辺で手紙を読む若い女」とレンブラントの「ガニュメデスの誘拐」を観た時は、とても疲れていたんですが、画からパワーを貰えました。
この、ジアンコーラの画もネット画像でこの威力なので、個展があったら、是非観に行きたいです。(ウットリ)
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照れます (ptd)
2007-07-21 23:49:36
c.mamaさまこんばんは~

>「そんなに見つめないで~」と照れてしまいます。
照れますよね~なんだか。知らない人なのに。それがこの画家の凄いところなんですね。いいポートレートって、その人物の内面まで伝わってくる、って言いますけど、こういうことなんですね。

>以前は古典絵画は苦手だったんですが
私もです。上手なんだけど、面白みが無いような気がして。同じスペイン古典絵画でもベラスケスよりグレコやボッシュがお気に入りでした。でも、本ものの迫力って凄いですよね。「ガニュメデスの誘拐」はなんか奇妙で怖いけれど迫力満点です。
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幻想的であり見ていると (白くじら)
2007-07-22 22:29:16
こんばんは。

この最初の絵は、幻想的であり見ているといろいろの想いが込み上げてきます。下地になったストーリーなどがあれば読んでみたいですよね。
でもちょっと怖い絵ですねぇ。特にえらの部分がリアルです。
こういう人魚たちは始めて見ました。

いや、味は思わなかったのですが。(^^;;; 怖いゾ
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魚です (ptd)
2007-07-22 23:30:03
白くじらさまこんばんは~

ちょっと怖いけれど、これがカバーだったらどんなストーリーなんだろうって読みたくなる様なイラストですよね!黒服の人はなんだか女の人みたいな気がしてきます。
私もこんな人魚は初めて見ました・・・考えてみたら、ここにえらがあるのは正解ですよね。

>いや、味は思わなかったのですが。(^^;;; 怖いゾ
味に関しては、人間と思ってませんので!あくまで魚!そういう趣味は無いです~。私は祖母に「あんたは猫泣かせ」と言われたほどの魚好きでして・・・お昼に良く行くお魚の美味しいお店も、私が魚をあまりに奇麗に食べるので最近人よりお魚が多いんですよ(爆)。
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おが~~! (dim)
2007-07-23 00:47:49
すごいですね、この一番上の絵。
見る人を惹きつけて離さない、何時間でも眺めていたいような、この世界にどっぷりつかりたいような気持ちにさせてくれる絵ですねえ。
とっても好きなタイプの絵だけど、部屋には飾りたくないですね。こんなの部屋に飾ってあったら、夜怖くて寝られないよ(笑)。
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うが~ (ptd)
2007-07-23 01:38:04
dimさまこんばんは。

>すごいですね、この一番上の絵。
そうなんです。私も最初見たときは「おわ~~」とびっくり!こんな絵、見たこと無い・・・黒い服の人もなんだか不思議だけど、魚男たちが怖い!リアルで怖い。でも生きてたら素敵かも?ストーリーの一場面なんでしょうね。

この画家は、ほかにも赤ちゃんを抱いた鎧の青年とか、素敵で不思議な絵がいろいろありました。

ではでは。

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Unknown (nbm)
2007-07-23 09:35:29
トップの絵で、ギュスターヴ・モローをちと思い出しました。
私も古典は苦手なのですけど、それは人物画が苦手だから。
でも同じ人物がでも雰囲気が変わると、俄然興味が湧きます!

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美青年の首・・・の人! (ptd)
2007-07-23 12:17:46
nbmさまおはようございます。

ギュスターヴ・モローおおーっと誰だっけ?調べました。
スフィンクスの可愛い(笑)絵の人!この人の絵も幻想的です。あの美青年の首持った絵も、怖くて好きです。
複雑な色味と輪郭が曖昧で光と影で質感を表す作風、
作風に関してはジアンコーラより好みだったりします。
ていうかギュスターヴ・モロー、巨匠でしたね。

ジアンコーラからこんな巨匠が出てくるところ、nbmさんも知識が深いですね~
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萌え。 (redpill)
2007-07-31 23:04:04
 こんにちは。

 アホなタイトルですみません。
 が、この絵は、萌えですね。
 もともと人魚♂とか、海棲人(?) 好きなので、たまらないものがあります。

 Kathleen Bryanさんの「The Serpent and the Rose」。アマゾンなどでも、ペーパーバックは手に入るようで。
 あー、読みたい。英書を読む根性は無いくせに、ポチッと注文してしまいそうです。。物語評価的には、まぁまぁのようなんですが、きっと持ってるだけでかなり満足。
 無駄遣いしそうだ。危険~。
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萌え~でいいんです! (ptd)
2007-08-01 00:13:37
redpillさまこんばんは

萌えです。私もそうなんです。この絵を気に入った人みんなこの人魚に萌えなんですたぶん。私も海の生き物(特に得体の知れない系魚とか)好きですので。

この絵が使われている作品を読みたくなりますよね。ちょっと調べてみましたが、やはりこの方の絵は作家のファンからも大絶賛みたいです。このイメージで映画つくるんなら、魚男はヒュー・ジャックマンでお願いしたいです。(いや、何となく雰囲気が・・・)

私もペーパーバック調べてしまいました・・・買っても積ん読になりそう。
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