フィリピンの経済
輸出の回復や建設投資の拡大に支えられ2024年上期の成長率が前年同期比6.1%となり、物価高と金利上昇の影響で景気が鈍化した2023年通年の前年比+5.5%から持ち直していたが、2024年7-9月期は前年同期比+5.2%に減速した。
昨年前期、多くの製造業はじめ、進出企業の繁忙は、景気回復による忙しさではなく、コロナ禍による生産原産と原材料不足による受注残納品の忙しさであり、多くの親会社はかなりご苦労された年だと思われる。
2024年に入り、ラグーナの工業地帯にある進出企業の中には、人材整理を余儀なくされたり、工場運営のためのから売上など、目立った年であった。
7-11月期は豪雨により作物被害が生じたほか、都市機能が一部まひして行政の遅れやサプライチェーンの混乱が生じたため製造業やサービス業の活動に支障をきたした。
需要側をみると、外需は財貨輸出(同▲3.5%)が減少した。主要輸出品である電子部品(同▲10.4%)の出荷が落ち込むと共に、悪天候で国内移動が制限されたため観光業が打撃を受けてサービス輸出(同+2.0%)が低調だった。
一方、民間部門は底堅さがみられた。民間消費(同+5.1%)は全国的な最低賃金の引上げと実質所得の増加等が追い風となり5四半期ぶりの5%成長に加速した。
また投資は同+7.5%(前期:同+9.7%)と高めの成長を維持した。
先行きのフィリピン経済は内需を中心とした堅調な推移が予想される。と言われるが、就職難も目立ち始め、消費は労働市場の改善による賃金上昇やインフレ鈍化を受けて実質所得が増加しているものの、ペソ安に伴う海外フィリピン人労働者(OFW)の海外送金が増加するとみられるため、一部では回復傾向が続くだろう。一般家庭においては、ペソ安になれば値上げ対策を行う市場の影響で、物価が異常に高騰を続けている。
投資は公共投資のけん引力が鈍化、進出企業も現地で購入できる原地製造材料がないことから外資系の進出の向上はコールセンターなどの進出はあると思われるが、製造業においては、一考する企業が多くなると予想される。
2025年度国家予算ではインフラ整備計画「Build Better More」プログラムにGDP比5.2%の1.5兆ペソが割り当てられたが、これは前年並みの水準だ。
政府は国家予算の負担を減らすため官民連携事業を推進している。従って、民間投資は金融緩和に伴う借入コストの低下も追い風に堅調に推移しそうな気配がする。
来年5月には中間選挙が予定されており、選挙前の公的資金の支出制限や政治的な緊張感の高まりから投資が冷え込むと思われる。
外需は、世界経済の底堅い成長により財輸出が緩やかな増加を続ける可能性がある、外国人観光客の回復とIT-BPO産業の成長によってサービス輸出も順調に拡大するだろう。一方、輸入も内需拡大により増加するとみられ、外需の成長率への影響は限定的となりそうだ。
金融政策はフィリピン中銀が2022年5月から金融引き締めを始めて政策金利(翌日物借入金利)は6.5%まで引き上げられたが、長引く高金利により個人消費が鈍化したため今年8月に金融緩和に転じると、10月・12月の会合でも追加利下げを実施して政策金利を5.75%とした。11月の消費者物価上昇率は同+2.5%に低下しており、コメの輸入関税の引下げ効果によって落ち着いている。先行きは農業被害による食品インフレや米国の利下げペース鈍化等に伴う通貨安が物価上昇リスクとなっているが、景気の過熱感が乏しくインフレ警戒感が強くないため、インフレ率は物価目標圏内(+2.0%~4.0%)低迷推移の可能性もある。フィリピン中銀は景気を支えるために2025年末にかけて段階的な金融緩和を実施して計1.0%の政策金利の引下げをする可能瀬英もある。
実質GDP成長率は2024年が前年比+5.8%(2023年:同+5.5%)と上昇したが、政府目標の+6.0%~6.5%を下回り、2025年が同6.1%とやや加速すると予想はされるが、来年は本当に景気が良くなるのか。トランプ政権次第でどのようになるか予想がつかない。
2024年も残すところ3日になりました。今年のフィリピンの多くの企業は、クリスマス休暇10日間などという企業も多く見られます。
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