95年の阪神大震災の際に免震構造の強さが実証され、その後、病院や役所、消防署、警察署、マンションにも免震構造の採用が急激に広がりました。そんな折、東洋ゴム工業による免震ゴムの偽装問題が明るみに出ました。東洋ゴムによる基準を満たさない免震ゴムは、30都道府県で、154棟に使われていることが判明しました。性能を満たしていない免震ゴムは全て交換される予定となっています。
それでは、この免震ゴムはどのように交換されるのでしょうか?左の図を参照して下さい。免震ゴムを交換する場合、➊油圧ジャッキで建物を持ち上げる ❷バンドを免震ゴムに巻き、人力で引っ張る ❸新しい免震ゴムをバンドを巻いて引っ張り入れる ❹調整、となります。交換には慎重な作業が必要になるので、1日あたり数個しか交換できません。不良品が使われている154棟の全ての免震ゴムを交換するには2年ほどかかるそうです。
住宅の賃貸借契約とは、どのようなものなのでしょうか?賃貸借契約は、賃貸人(貸主)が賃借人(借主)に住宅を使用させることを約し、借主が賃料を支払うことを約する、ことによって成立します。お互いの承諾だけで成立する契約なので「諾成(だくせい)契約」と呼ばれます。つまり、1万円で貸すよ、1万円で借りるよ、これだけで契約は成立します。
この契約において、貸主は、貸そうとする住宅の引渡し、修繕義務、並びに借主に対する費用償還義務を負います。この費用償還義務は二種類あります。一つは、必要費償還義務で、例えば借主が雨漏りを自分の費用で修繕した場合には、貸主はただちにその費用を借りた人に償還しなければなりません。もう一つは、住宅の改良のために費用(有益費と言います)を支出した場合です。この場合、貸主は契約終了時に、住宅の価値が現存している限り、支出された費用又は増加額のどちらかを借主に償還しなければなりません。但し、費用を返すか、あるいは増加額を返すか、この選択は貸主にあります。例えば、借主がトイレを和式から洋式のウォッシュレットに借主の費用で変更した場合などです。この変更により、住宅の価値は上がったので、この価値分を貸主から返してもらえるわけです。必要費は貸主から直ちに返還してもらえますが、有益費の請求は住宅の返還から1年間です。一方、借主の義務は、賃料支払い義務、善良な管理者としての保存義務、並びに無断転貸をしない義務を負います。
賃貸借契約に際しては、一般に借主から貸主に対し、敷金が支払われます。敷金の法律的性格は、一種の条件付きで金銭の所有権を借主から貸主に移転するものです。交付された敷金は、いったん貸主のものとなり、賃料の支払債務や将来借主が負うことがあり得る賃貸人への損害賠償債務など、賃貸借契約から生ずる一切の債務を担保することになります。従って、借主に賃料の不払いなどがあれば、貸主は契約の期間中でも終了後でも、敷金をこれに充当することが出来ます。しかし、敷金が交付されていても、貸主は賃料不払いを理由に契約を解除することもできます。借主の側から、不払い賃料を敷金から差引けと主張することは出来ません。契約終了時に借主に債務があればその額を差引き、不履行がなければ全額返還しなければなりませんが、利息はつける必要はないものとされています。貸主が変更となった場合は、当事者間に特約のない限り、敷金関係は新しい貸主に承継されるものと解されています。(0225)
私はマンションの長期修繕委員を10年間ほど担当しています。そんな関係から、住民の方から、質問や要望を頂くことがあります。最近の質問の中で、「結露が多いし、エコポイントも付くので、窓の断熱性を高めたい。どういう方法が良いか?」こういうのが数件ありました。住民も高齢化してますし、建物も30年以上経過しているので、換気設備も窓を開ける以外ありません。寒いから窓を閉めてしまう、そうなると結露する、どうしてもこうなってしまいます。
それではと、専有部分ではありますが、管理組合の理事会として、マンションの窓の断熱性向上として、どのような対策が最善なのかの検討を始めました。手始めに、業者を4社呼んで、技術的な内容の把握、金額のレベルを知ることにしました。知りたかった点は、二重窓かペアガラスか、そして、費用は?このような点です。工事費用は30戸以上は行うという前提にしました。要するに、数をまとめて安く工事を行う、マンションの強みを生かすことを考えました。
検討を重ねた結果、ペアガラスではなく、二重窓を採用すること、その前提で、4社から1社(Sアルミ社)を選び出し、最終工事金額を交渉、最初の金額より相当に減額となりました。そして、住民に対する説明会を開催し、約50戸が二重窓を設置することになりました。専有部分でも、マンションとして、技術的な検討や価格の交渉をすれば、良いものがより安く設置できる、このような数の優位を生かすことが大事と思いました。写真は、既存の外窓に、内窓を付けて二重窓にした様子です。内窓のガラス厚は5mm、枠は樹脂製です。二重窓にした感想は、断熱効果も相当に向上しますが、遮音効果も上がりますのでお勧めです。(10.12)
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浦安のご夫婦は、地盤調査をせず、布基礎を採用したので、このように全壊してしまった、だから、設計・施工に不備がある、と訴えています。これは建物を建てる上で、重要なヒントを与えています。家を建てる人は、地盤調査をしたのかを確認すること、そして、布基礎はベタ基礎よりも液状化に弱いということです。
地盤を調査すれば、地盤調査報告書というのがあります。ですので、戸建住宅を購入する人は、契約時に地盤調査報告書を売主に要求し入手しておくことが大事です。また、戸建住宅の基礎は、布基礎かベタ基礎か、この2種類です。私は、ベタ基礎をお奨め致します。理由は、ベタ基礎の方が地震に強いだけでなく、床下の除湿についても優れていると思われるからです。
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このひび割れは、3月11日の東日本大震災により生じてしまいました。この梁は逆梁と呼ばれるものです。逆梁とは、通常、床スラブの下に付けられる梁を、床スラブの上に付けたものです。このようにすると、窓の開放感が増しますので、最近のマンションではよく見受けられます。また、このマンションは高層ですが、一般の耐震構造で、免震構造や制震構造ではありません。
このようなひび割れが生じてしまった原因は、建物の規模の割合に対し、一般的な耐震構造であった、という点かなとも思います。また、逆梁であるため、梁の上面にひび割れが入ってしまっています。
この程度のひび割れであれば、梁としての構造的な問題は大きくはないだろうと思われます。ただ、問題は、雨水が浸入し易くなってしまっている、という点です。梁の内部には鉄筋が入っています。この鉄筋が荷重を支えています。梁の内部に雨が入れば鉄筋は錆びやすくなります。コンクリートは、内部の鉄筋が雨や外気に触れないようにするためのものでもあります。
梁などの構造体はマンションの共用部になりますので、このようなところに写真のようなひび割れが生じてしまった場合には、管理組合に連絡すべきです。建物の耐久性を減らさないためにも、管理組合が主導して補修すべきと思います。(11.4)
3月11日、午後2時40分頃、東北・関東に大きな地震が来ました。その時、私は、東京のマンションの確認会に立ち会ってました。20階建てですが、突然、バルコニーの手すりがガシャガシャと音を出し始め、突風が来たと思いました。その内、建物全体がきしみ出し、地震と分かりました。すぐに建物の外へ避難しました。ふと、建物に入る玄関の横の床の部分を見ましたら、上の写真のようなひび割れが入っていました。このひび割れは、建物の耐力壁ではないので、大きな問題はないと思いますが、大きな地震だった、というのが分かります。
これから、マンションの引渡しを受けようとされている方は、まず、売主に対し、今回の地震によって、損傷の程度を確認されるのが良いでしょう。また、大事なマイホームですから、やはり、引渡しの前にもう一度部屋の中を見るべきとも思います。何か問題があっ場合、引渡しの前の方が買主にとっては有利です。それから、既に、マンションにお住まいの方も、管理会社に対し、通常、建物点検は管理契約に入っておりますので、建物及び設備点検を至急行うように指示すべきと思います。