写真は一戸建ての内覧会で撮りました。写したところは、外部にある通気管です。通気管とは、お風呂やトイレなどから排水した時に、空気を取り入れて、流れやすくするためのものです。ですから、建物には、このような通気管が必ず設置されます。通気管は空気を取り入れるためのものですから、外部に開放されなければなりません。
写真の赤の→部分が、その解放口です。写真には、2か所の赤い矢印があります。よくご覧頂くと、上の通気管の最上部の解放口にはキャップがありますが、下の→部分にはキャップがありません。これでは、空気は取り入れることは出来ますが、雨や虫などが入ってきてしまいます。下の方にカバーがないのは単純に忘れてしまったからです。一戸建ての内覧会に行きましたら、ちょっと面倒ですが、外部にある通気管の状態も確認して下さい。(48)
写真は戸建ての内覧会で撮りました。写したところは2階の窓から見た1階の屋根部分です。この屋根には洋瓦が敷き並べられています。写真の矢印部分をご覧頂くと、洋瓦の2枚が割れているのがわかります。これは建設中に割られたものでしょう。
屋根の瓦が割れていては、雨漏れの原因になりますし、屋根瓦全体の構造的安全性も落ちますので、こういうことがあってはならないことです。ここの屋根は1階の一部分で2階の窓から見えたので、直すように指摘しましたが、2階の屋根は内覧会では見ることができません。施工業者には、2階の屋根全体も再点検するように指示しました。(37)
私が一戸建ての内覧会に同行する場合、次のように進めます。内覧会当日は、午前10時に、買主と現地で待ち合わせし、10時から午後1時まで、3時間で検査を行います。検査をして不具合箇所は付箋を貼って行きます。午後1時に売主側(現場監督)に来てもらって、2時間程度、付箋を貼った不具合の指摘と補修の方法の確認をしていきます。
午前10時から始める検査は、買主には検査の方法を伝え、2階→1階→敷地、と見てもらいます。私は、逆の方向で、敷地→1階→2階と進めて行きます。そして、見て回って、気になる箇所には、付箋を貼って行きます。全て、見るまでに3時間程掛けますが、目安としては、敷地や家の外観に30分、1階で1時間30分、そして2階で1時間、こんな感じとなります。そして、午後1時に、売主側の監督が来たら、買主と私、3者で不具合を一つずつ確認し、内覧シートに書き込んで行きます。これが約2時間かかります。
以上は、私が内覧会に同行させて頂く場合の進め方です。同行者がいない場合でも、上記の時間配分を目安にして、同じようにゆっくりと時間を掛けて、部屋の隅々まで確認することが必要と思います。大事なことは、明るい時間帯に、敷地及び部屋の中全体を、住み始めた気持ちになって、隅から隅まで、ゆっくり、しっかり、見てみることです。屋根、外壁、庭を見て、玄関、廊下と入ってきて、今度は、ただ見るだけでなく、住んだ気持ちになって、照明のスイッチ、水道の蛇口、建具の開閉、使ってみる、動かしてみる、こういうことも確認して下さい。屋根裏や床下も点検口がありますので、カバーを開けて、中を懐中電灯でのぞいてみて下さい。(011)
写真はマンションの内覧会で撮りました。写したところは、ベランダの樋(とい:雨水を流すための排水管)の裏です。ベランダの床には、長尺シートと呼ばれる、厚さ2㎜の塩化ビニール製のシートが貼られます。雨が掛かるところなので、基本的には、シートの継ぎ目は少ない方が良いです。継ぎ目がなるべく少なくなるように、トイレットペーパーのようなクルクル巻きの長いシートを貼っていくわけです。
ここの部分には、樋があります。樋がありますので、シートに穴を開けなくてはなりません。穴を開けるために、シートを切り込んだわけです。シートを切り込んだのは仕方ないのですが、問題は、切った部分(白い矢印のところ)は、隙間が生じないように処置をしておかないと、雨水が入り込んでしまいます。本来、このような長尺シートの継ぎ目は、しっかりと溶接します。溶接すべきなのですが、樋の裏でもあるし、雨が掛かりにくいことも考えて、コーキングをするように指示しました。内覧会に行きましたら、このような箇所も見て下さい。写真のように、切ったまんま、になっていましたら、接合部にコーキングするように指摘して下さい。(113)
写真は、内覧会でトイレを撮ったものです。便器にモノサシを当てています。ここでご覧頂きたいのは、便座の縦方向の内法寸法です。モノサシで測ってみますと27㎝となっています。
便器の大きさは2種類あります。普通サイズと大形サイズ(TOTOではエロンゲートと呼びます)です。上の写真の便器は普通サイズで、縦方向の内法が27㎝、一方、大形サイズは普通サイズよりも縦が3㎝長くて30㎝になります。高さも2㎝高くなります。
たかだか縦方向が3㎝異なるだけですが、使い勝手はものすごく違います。絶対に大形サイズをお奨めします。私が今までに見てきたマンションや戸建では、この普通サイズを採用しているケースは、少なくなってきてはいますが、まだ、1~2割あります。
内覧会で、普通サイズの便器を見つけて、これでは小さいから大きくしてくれ、と要求しても、まず、売主は拒否してきます。交換するにはお金が掛かり過ぎるからです。普通サイズになってしまっている場合には、大形サイズの便座に変えることは可能です。但し、便座を購入する際に、既に付いているサイズを言った方が良いです。マイホームの購入時、またモデルルームに行った際には、細かいことですが、トイレの便器の大きさを確認して下さい。何せ毎日使うものですから。(612)
写真は、マンションの内覧会で撮りました。撮った部分は、キッチンのシンクの下の開き戸の丁番です。ご覧頂きたいのは、赤い矢印が付いているところです。こんな小さなものなのですが、これが大きな働きをします。これはセーフクローズダンパーと言います。セーフクローズ、要するに、バネの力を使って、扉のぶつかりを和らげる装置です。これが付いているだけで、扉を開けて閉めるときには、枠とのぶつかり音もなく、ゆっくりとやさしく閉まってくれます。ですので、高級感も出るし、気分も和らぎます。
このマンションでは、感心なことに、このセーフクローズダンパー付きスライド丁番が、キッチンだけでなく、洗面所の棚、クローゼット、玄関収納等の扉に使われていました。このような観音扉を閉めるときの音は気になります。閉める際の衝撃音は壁を伝わって隣りの家にまで響いてしまうこともあります。特に、戸境壁に面して洗面台などが取り付けられている場合には、引き出しを閉めた際のぶつかり音が隣戸へ伝わりやすくなります。
そのような状況を防ぐためにも、このセーフクローズダンパーは、小物ですが大事な役割をします。モデルルームへ行った際には、細かい点ですが、クローゼットやキッチン、洗面台の扉が、このようなダンパー付き丁番になっているかもご確認下さい。このセーフクローズダンパーはホームセンターで購入して、後から自分で付けることも出来ます。(02)
写真はマンションの内覧会で撮りました。写したところは、バスルームの天井にある点検口を開けて、天井裏の内部です。バスルームの天井裏には、電気の配線や給湯・給水のパイプ等が来ています。ご覧頂きたいのは、赤い矢印で示したところです。黒いカバーの中には、電気の配線がまとめられて入っています。配線を通すため、天井に付けたランナーと呼ばれる金属を切り欠いています。ランナーとは、壁を取りつけるために天井に付ける軽量鉄骨(LGSと言う)です。
ここでの問題点は、この切った部分が配線のカバーに接していることです。軽量鉄骨と言えども金属なので、切った部分は鋭利になります。建物は地震などで揺れますので、この部分も揺れれば擦られることになります。擦られても簡単には配線が切れることはないでしょうが、安全のため、ランナーの切った部分を折り曲げて置くように指示しました。簡単なことですが、これだけでも安全性は高まります。バスルームの天井裏は、住んでしまえば、余程のことがない限り、見ることはないでしょう。内覧会では、ちょっと面倒でも、脚立を使って天井裏もチェックすることをお勧めします。(411)
写真は戸建ての内覧会で撮りました。右側の家が新築で、写したところは、玄関の反対側、家の裏側になります。手前の白いネットフェンスは右側の新築のもので、向こうの目隠しフェンスは既存で左側の隣地内に立っています。
ここでご覧頂きたいのは、フェンスが途中で切れている部分です。なんで、この部分が50cm程フェンスの間が空いてしまっているのか、売主に聞いても、明確な返事はありませんでした。これでは、人の出入りも自由で、手前のフェンスの意味がなくなってしまいますし、見た目にも格好悪いです。
ですので、売主に対しては、ここの部分にもネットフェンスを設置するように指示しました。一戸建ての内覧会に行きましたら、家の外側も一周まわってみて、フェンスの状態も確認して下さい。大事な点は、境界との関係、フェンスの位置、仕様の確認などです。(38)