ら族の歳時記

「道が分かれていても人は幸せになる道を選ぶ能力がある。」
能力を信じ、心の安らぎの場を求めて、一歩一歩。

老いるということ

2020-11-10 17:56:11 | Weblog
ちょっと聞いた話。

同居している姑さんが突然ボケたと。

元気で畑にも出ていたと聞く。

前兆は何もなく。


ある日、車がないのに
姑がいる。

「車を置いてバスで帰ってきた」
という。

不自然なことをいうと思いつつ、
気に留めなかった。

しかし、車を取りに行く気配がない。

車をぶつけて、内緒で修理をしているのか
と思い、当たってみるけれど
そういう情報は入ってこない。

車を探してみたら
ご近所のマンションの駐車場に
止められていて、
張り紙がされていた。

それで「おかしい」ことに
気がついて、発覚した。


突然すぎて。。

もう車に乗れないようにと、
車は売るしかないと思っても
乗る車は一台でないらしく。。。


病気から突然来る認知症も
あり得るので、
治る見込みがないとはいえない。

今は病院で確認中らしい。



昔20年ぐらい前、
まだ体重を測って、
コンソールに自分で除水量を
計算して打ち込んでいた時代。

とても几帳面な高齢の男性がいた。

ノートに朝、夕の血圧や
体重を書き、透析中の血圧や
今日の担当スタッフ、
穿刺、時間チェック、
終了者まで記載していた。

その男性が顔に傷をおって
透析に来た。

転んだといっていた。

その日、お嫁さんが迎えに来て
スタッフにいっていた。

「バイクもどろどろで帰ってきて
 『どこで転んだの?』ときいても言わない。
 一回目は恥ずかしいのかと思って
 それ以上は聞かなかったけれど
 二回目があって、やはり言わない。
 バイクで病院に来るのは危ないと思い、
 迎えに来た」と。

これを聞いたある患者さんの一言で
事態は急変した。

「除水がどうしても残ってしまい、
 どんどん残りが増えていくと
 相談を受けた。
 
 どんどん増えていくというのは
 おかしいと思い、
 どうやって計算しているの?
 と聞いたら増えた分だけを
 除水量にして、
 食事分を足していなかった。

 ながく透析をしている人が
 食事分を忘れるなんておかしい
 とは思ったけれど、
 誰にも言わなかった。

 転倒と言い、
 おかしいんじゃないの?」

スタッフもしっかりしている人だから
なにか思うことがあって
体重を残していると思っていたらしく
気に留めていなかった。

当時は自己管理の時代。

今は思うことがあっても
「今日は〇〇〇g残すんだ(引くんだ)」
と意思を確認する。


その一言から、
注意深く観察すると
確かにいつもと変わっていた。
 
その人は、
そこから転がるように体調が悪くなり、
1年ほどで亡くなった。



「あんなしっかりしている人がなくなるなんて。
 しっかり管理していてもなくなった経緯を
 教えて欲しい。
 これからの参考にしたい」

と言っていた人がいたけど、
今でいえば個人情報で教えることができないし、
当時であっても、しっかりしていても
老化には勝てないということで、
参考にできるものではない。



もしかしたら、
このお姑さんも
なんらかのシグナルを発していたのかも
しれない。

元気だから、しっかりしているからと
見過ごしてしまっていたことが
あったかもしれない。


徐々に記憶があいまいになるだけが
認知症じゃないんだということを知った。

「突然」もあるってことを。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする