2ヶ月後、廃国される国々にセキからの文書が届いた。リョウが赤い馬で駆け回り各国の王宮に勅命書を弓で打ちつけた。
そして、臣下達に「我の側に参れ!」と叫んだ。
赤界の王からの勅命である
其国は1ヶ月後に廃国し国は消滅することとする。
王は直ちに自国の民を指定した国に移民させること。
王族については厳罰に処するがゆえ沙汰を待つこと。
一才の嘆願は受け付けることはない。
抵抗して民を盾にして王宮に立て籠った王も少なくはなかった。そういう国々にはセキ自身が「炎の塊」となり出向いて王を処分した。それを見た側近達は慌てて移民を開始した。。。罰せられるのは王族のみなのだから。
亜遊の国にも勅命書が打ちつけられた。それを読んだ夫である王は勅命書を床に放り投げて信じなかった。より深酒をするようになり相変わらず妃たちと乱痴気騒ぎをしていた。
他の廃国の王数名がセキの天罰で火に焼かれたとの情報が入ると臣下達が言うことを聞かなくなった。
「どうするのです!」と王に詰め寄った。それでも王は気を失うまで酒を飲んで臣下達の話を無視した。
「なすべきことをせよ」兄の言葉の意味がやっとわかったと亜遊は思った。
亜遊は立ち上がった。王が放り投げた勅命書を声を出して読み上げた。
そして、臣下達に「我の側に参れ!」と叫んだ。
亜遊は地図を広げて、この国の民の行き先を確認し、組み分けをし、国中の馬車を供出するように命令を下した。
「すぐに出発させよ。期日までにやり切らねばならぬ。宮仕は、こういう時に動くのが務めなのだ。我も宮仕じゃ!」
期日まで10日しかなかった。
亜遊の声を初めて聞いた宮仕達は彼女が「王妃ではなく女王」だと思った。臣下達は亜遊の命令で動き出した。
酔い潰れていた王がフラフラと立ち上がって亜遊の胸ぐらを掴むと「貴様は王妃のくせに何をした?!これは間違いに決まっておる!」と怒鳴りながら亜遊を殴ろうとした。その腕を赤い矢が貫いた。「ギャッ!」と言って王は亜遊から手を離した。
広間の入り口に弓を構えたリョウがいた。
「セキオトコ。。。」と亜遊はつぶやくと「期日に間に合わせますゆえ民草が全員新しき国に旅立つまで暫しお待ちください。」と伏礼をした。リョウは「やめなさい。あなたは、この国の王族ではない。」と言った。「期日まで後10日。それまで邪魔をしそうな者達を先に捕縛して赤界に連行します。最後の日に、また参ります。」
10数名の赤男が広間に入ってくると、王も妃達も重臣だった王の係累数十名も縛り上げ全員広間から出ていった。
7に続く。。。