ある日、派手な顔立ちの赤女がワタリの元に来て「母子の家のボランティアをさせてほしい。」と言ってきた。
ふらりとセキがやって来たので、ワタリはセキに「王妃様が、あのような方だとは思いもしませんでした。」と言った。セキは「エリは優しい母親だ。アオイを10歳まで、ああやって育てていた。困っている者を助けずにはおれない、子供が傷つくのは我が事のように辛い。。。王妃は、そういう女性。だからワタリ、好きなようにやらせてやってくれ。」
化けているつもりだろうが、その女はどう見ても王妃エリだった。
ワタリは「ご主人は、なんと仰っていますか?」と聞いた。騙されてあげるにしても、これだけは確認を取っておかねばと思った。
「言うと思ったですって。」と女は答えた。
「それは御了承済みと受け取って良いということですね?」
「その解釈で良いと思います。」女はそう答えた。名をエラと名乗った。
エラはミホと掃除をしたり、亜遊と子守りをした。子供達と花壇を造った。土を掘り子供達に花の種を渡して蒔かせた。神力で10日ほどで花が咲くようにして、子供達と水やりをして花の開花を子供達の楽しみにした。
ふらりとセキがやって来たので、ワタリはセキに「王妃様が、あのような方だとは思いもしませんでした。」と言った。セキは「エリは優しい母親だ。アオイを10歳まで、ああやって育てていた。困っている者を助けずにはおれない、子供が傷つくのは我が事のように辛い。。。王妃は、そういう女性。だからワタリ、好きなようにやらせてやってくれ。」
エリは数日おきに一日2、3時間エラとして「母子の家」に通った。
それは、エラとミホが2人で保育室の掃除をしている時に起こった。
1人の母親が血相を変えてやって来て「ミホ様、私の子は此処を通りませんでしたか?」と叫んだ。
「ルリがどうしたのだ?」とミホが尋ねると「公園で遊んでいたらいなくなってしまったのです!」母親は泣き出した。
エラはそれを聞くと「誰かおるか!」と大声を上げた。その声を聞いた近くにいた赤男数名が駆けつけてきた。
「子供が1人、この区画から出てしまったと考えられる。探せ!高天原の童だ。見れば直ぐに分かるであろう!」赤男達はエラの命令で走っていった。
ミホは「。。。もしかして。。。エリ様?」と言うと膝をついて「ご無礼をいたしました」と頭を下げた。それを見たエリは「やめてくれる?私は此処ではエラでミホの友達。それより、子供を早く探さねば。ワタリが一番この王宮の造りに詳しい。ワタリを呼んでくるね。」と言うなり外に出て言った。
ワタリが「母子の家」に到着すると亜遊もいないことが判明していた。
14に続く。。。