「弥川の皇の尊」。。。忘れていた昔の自分の名前。![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/c0/267fbeebec1bb3f41545d853b232086c.jpg?1680042712)
ワタリもニコニコして「亜遊様は高天原にいらしたのですね。私はワタリです。ワタリと呼んでください。亜遊様はアズサ様と共に母子達の面倒をみるために馬車に乗ったのですね。」と言った。
ワタリが驚いて振り向くと緋袴の女官がいた。
素顔の亜遊がいた。亜遊はニコニコして「鬼に食べられちゃったかと思っていました。生きていて良かったです。」と言った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/c0/267fbeebec1bb3f41545d853b232086c.jpg?1680042712)
ワタリもニコニコして「亜遊様は高天原にいらしたのですね。私はワタリです。ワタリと呼んでください。亜遊様はアズサ様と共に母子達の面倒をみるために馬車に乗ったのですね。」と言った。
「私は廃国の時に初めて王族の役割に目覚めたのです。今は王族ではありませんが、民草に奉仕するお役目を持つ方の側仕えになりました。」亜遊は答えると頭を下げ「私からも赤王様にお礼を申し上げたいくらいです。私達みんなお世話になります。ワタリ様。」と言うと踵を返して「母子の家」戻っていった。
その後ろ姿を見ながらワタリは亜遊と会うのは3度目。笑い顔は初めてだと気がついた。
ワタリは王の執務室に戻ると、出るときセキから渡された「赤色珠」を全部返した。セキは一つだけワタリに戻すと「ワタリは、あの者達が暮らし易いように直すところも出てくるであろう。お前は常時、身につけておれ。」と言った。
「亜遊様は高天原にいたのですね。」ワタリが言うとセキが廃国の時の話をしてくれた。
「あの女子にはピッタリの国であろう。廃国の時、ワタリの兄は何もできず、王妃の亜遊が民を移民させたのだ。亜遊もまた、ワタリと同じ奴隷であった。公に発言することも禁じられ、7歳から王宮を出たこともなかった。ずっと綺麗な着物を着た人形のような扱いを受けていた。それでも、王族の姫は違うな。王を無視して僅か10日で民や宮仕を送り出した。」
「。。。そうだったんですね。亜遊様は私が鬼に喰われてしまったと思っていたようです。」このワタリの言葉を聞くとセキは「素直な女子だ!」と言って大笑いをした。
ワタリは毎日、空いた時間に「母子の家」に行った。そしてアズサから母子達の暮らしぶりについて話を聞いた。
赤子とは言っても1歳児もいたので公園があることを非常に喜んでいると聞いた日には、部下達の仕事が幼子の癒しになっている。良い仕事をしたと部下達を褒めた。
亜遊は「何でも屋」で母親達が少しでも心休めるように赤子を預かったり、少し大きな子達に歌を教えたり、本を読んだりしていた。ワタリは一階のスペースを組み替えて小さな保育所を造った。
母親達は高天原に残った夫を心配していた。アズサは話を聞き心のケアにあたった。
アズサの母、ミホは袴から赤界の官服のパンツに履き替えて共有スペースの掃除をしだした。もちろん、自分のことは自分でやる。女官達は母子のために連れてきたのだから。
13に続く。。。