連なって車が走る神戸市北区の国道176号に22日夕、突然約20メートルの高さから巨大な橋桁が落下してきた。「地震か」。ごう音と共に立ち上る土煙。付近の住民は「日常的に通る道でまさか」と震え、巻き込まれた作業員らの救出作業を不安そうに見守った。
「バリバリ、ピキピキ」。午後4時半前、近くの工場に勤務する藪貢三さん(65)は異様な音を聞き、外に飛び出した。「ゆっくりと橋が落ちていくのが見えた」。現場近くのカメラは、上下に揺れながら落下していく様子を捉えていた。その間も複数の車が下を走り抜ける。近くを走っていたトラック運転手森崎賀功さん(42)は「地鳴りのような音が数十秒した。地震かと思った」。
国道には鉄骨や足場も散乱。警備員が「橋が落ちた。この先行けません」と通行人らに呼び掛けていた。近所に住む主婦、下浦佳代さん(66)は「国道は自分も日常的に通る道。それを思うと怖い」とおびえた様子。下浦さんによると、金属音のような大きな音がしたかと思うと、現場側から赤茶色の土煙が上がった。しばらくするとパトカーや救急車のサイレンが響き、上空にはドクターヘリが飛んでいた。
落下したのは新名神高速道路の工事現場で、並行して走る2本の橋桁のうち、上り線側。作業員、梛木拓也さん(20)=大阪市大正区=は事故の衝撃で投げ出され、首にけがをした。恐怖で体が動かなくなったが、自力で立ち上がり、血まみれになった仲間の救助に当たった。搬送先の神戸市内の病院で「いた場所が少し違ったら死んでいたかもしれない」とぼうぜんとした表情で話した。
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