好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

EP.1 岩崎めぐみ編(JC第1巻)考察。

2020-02-22 | 『シティーハンター』原作考察
『栄光なきテンカウント!』

昭和60年2月と明示される第1話。初読の人は、絵柄の差異にまず驚くだろう。
この時点では、前作『CAT’S EYE』(『CE』)の影響が強く残っており、
本作の主人公・冴羽獠のキャラクター性も、その『CE』の神谷真人を
進化(深化)させた部分が大きい。

作者は、獠の造形について、旧来のハードボイルドのアンチテーゼの
旨を述べている。そのじつ、獠の表情は常に目まぐるしく変わる。
平時には感情を露わにし、声を張り上げ、大いに飯を食らう。
推理小説ではスペンサー(byパーカー)という先達もいるが、
少年漫画でこのような二枚目半の主人公はなかなか斬新だったはずだ。

ただ、振り返って読み返せば、この時点の獠は、
旧来のアンチテーゼというには弱く、まだバリエーションに止まっている。
例えばラストシーンの、「おれのことを恋人だと思っていてくれ」と口説く下りは、
古典的かつシリアスな映画そのものだ。

なお、この事件を読み解くには、「ガンは一切展望のない不治の病」
という、当時の情勢を踏まえる必要がある。
依頼人、その恋人、殺人鬼である標的(ターゲット)、
その標的を狙撃する獠……と、
この事件には、主な登場人物にことごとく「死」が憑いて回る。

この通り、『シティーハンター』という作品は当初、
「死」に向かう者たちの生き様を描く物語として始まった。
後の事件を読む際も、獠が「人殺し」として創られた事を
胸に刻むのを、くれぐれもお忘れなきよう。

それでは。また次回。

この記事についてブログを書く
« スマホゲーに依存してたと気... | トップ | DS『月の光』攻略。(その1) »

『シティーハンター』原作考察」カテゴリの最新記事