『ハト時計と慈愛の家の夢』
「滅菌作戦」を終えてからの鷹野というのも、『ひぐらし』原作で扱われていない話題だ。
家庭用ゲーム機版まで広げても、『目明し編』のエンディングの一つで少しだけ触れられている程度。
本作の特徴としては、いわゆる「地の文」の割合が非常に高い事だろう。
まず、登場人物が少ない。
後半に小此木が現れるまでは基本的に鷹野のみ。
その鷹野を取り巻く状況と、彼女の心理描写との説明に紙幅が割かれている。
正体を明かしてからの鷹野は、『皆殺し編』では取り憑かれたように口舌を尽くし、『祭囃し編』では激しく恐慌を起こし、と感情の起伏が激しかったが、本作では極めてクール。
人生最期となる旅路を、小此木と穏やかに辿っていき、終焉に至る。
物語の悪役たる彼らは皆、散っていく。鷹野も、小此木も、野村も。
全体的にしっとりと落ち着いた雰囲気なのは好み。
ただ、小此木の口調に少しだけ違和感も。
「おりやす」「すいやせん」って言い回し、してたかなぁ原作で……?
それでは。また次回。