『黒後家蜘蛛の会(1)』(byアイザック・アシモフ)、読了。
全12話収録の短編集。
月に1回開かれる、男性のみで構成された食事会。
会話のうちに出される謎めいた出来事に対し、彼らは全員、次々に仮説を挙げていくが、それらはどれも正解でなく。
議論が出尽くした頃合いに、最後の一人である給仕、ヘンリーが鮮やかに答えを弾き出す。
というのが、この作品のテンプレート。
(第1話の『改心の笑い』だけは、ヘンリー自身が謎の当事者のため少々異なる)
登場する謎は基本的に、日常に伴う物。
暗号めいた遺言を解き明かしたり。
『ブロードウェーの子守歌』は集合住宅の騒音問題から始まったり。
食事会の参加者たちは、誰も広く深い知識の持ち主で、性格の方は逆にあまり差がない。
全員、作者の一面を模してるように感じる。(そういうレビューも多い)
論理よりも感性重視の画家ゴンザロが印象に残るくらい。
小説家のルービンはほぼ完全にアシモフっぽい。
他には、弁護士、暗号専門家、化学者、数学者。
個人的に一番好きな話は『指し示す指』。
本棚に並ぶシェイクスピアの本を指さして亡くなった人の真意を探す話。
コレは現代でも起こりそうに感じる。
逆に、過去と化してしまった話もある。
『行け、小さき書物よ』に登場してる紙マッチを「ブックマッチ」と呼ぶと今更知って、同時に実物の日本生産が終了していた事も知った。
そういや、あのタイプのマッチ、結局使いそびれて終わっちゃってたな。マッチ自体も、そのうち過去になったりするんだろうか。
それでは。また次回。