『香ちゃん狙撃さる!?』
作者が最終回として想定したかもしれない重要エピソード。
構造は『川田温子編』と似ている。
『手塚明美編』で登場した銀狐や、教授と名取かずえ達といった外部の刺激によって、獠と香の二人は、それぞれ自らの持つ感情を自覚する。
獠は香を「失いたくない」と。
香は獠に「守られたい」と。
この感情を素直に打ち明け、受け入れれば話はまとまるが、そうは問屋が卸さない。
獠は偽悪的かつ露悪的に振る舞って香を消極的に遠ざけようとする。
香を裏社会に引き込んだ責任を取ると語るものの、彼女とのつながりを物理的に絶つまでの行動は出来ず、葛藤を強める。
一方、香は自分で自分を守り戦うために、海坊主のトラップ技術を会得する。
獠の後ろでなく、横に立てる存在を目指そうとする。
つまるところ、獠への恋愛感情をいったん封じたわけだが、その決意は逆にいっそう彼女を魅力的に輝かせる。
男性キャラと(ギャグ描写でなく)対等にバトルする女性キャラというのは、少なくとも連載当時の少年漫画で見た覚えは私にはない。
ともあれ、これで二人の関係は新たな段階に入った。
二人それぞれ相手に片恋し続ける、客観的には相思相愛、蜜月の期間が始まるのだ。
フェーズ3「ストルゲ」終了。フェーズ4へ。
(※ストルゲ。友情的恋愛。安定した穏やかな関係)
それでは。また次回。