里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

食糧需給

2011年02月11日 | 経済
2月11日の日経に「米トウモロコシ在庫が急減」という見出しで、
『米農務省が、今期末トウモロコシ在庫量が15年振りの低水準になる見通しを発表す
 るや、シカゴ市場の穀物市場でトウモロコシの値段が高騰している』
『米中西部の干ばつと熱波、中国での需要拡大、投機資金の流入に加え、
 ガソリンに混ぜるエタノール向けの需要拡大が大きな原因で、バイオ燃料の利用
 を奨励するオバマ政権に対する批判も出ている』
という記事が載っていた。

調べて見ると、アメリカのエタノール生産量は、2010年は約130億ガロンだったが、
2022年には360億ガロンを目標に増やして行くのだそうで、批判を考えてトウモロコシを
原料とするエタノール生産量は2015年以降150億ガロンに抑えるらしい。

一方で米農務省は、穀物生産量は、2010年の2,179(百万トン)から、2050年には約38%増の約3,012(百万トン)に伸ばす事が出来ると推定しており、その間の世界の人口が約
69億人から約32%増の約92億人になったとしても問題は無いと考えているようだ。

本当かしら?
穀物生産量を増やすには、耕地面積を増やすか単位面積当たりの収穫量を増やすしか
ないと思うのだが、現在より30%以上も増産する事は難しいのではないか?
まして、昨今は農作物が大きな被害を受ける異常気象も増えていると言うではないか。

オバマ大統領も、いくら経済界から「企業の負担を伴う温暖化ガス削減反対」を言われ
たといっても、人間や家畜の食料となるトウモロコシを燃料として利用する方法に安易に
走るのは止めるべきだと思う。

〔世界の穀物需給・人口 及び 米国のエタノール生産量〕
 
 (資料)世界の穀物需給:農水省、農林水産政策研究所、米農務省のデータから引用
     世界の人口   :総理府統計局のデータから引用
     エタノール生産量:再生可能燃料協会(RFA)から引用



穀物価格

2011年02月10日 | 経済
2月6日の日経が、“食料の高騰、新興国圧迫”と、次のように報じていた。
『価格高騰の主因は新興国の消費拡大天候不順で、それに加えて値上がりを期
 待した投機マネーの流入も影響している』
『しわ寄せは新興国の消費者を直撃し、価格の高騰は職を得られない若者の不満に
 火をつけ、各地で政権交代や指導者の退陣を求める動きとなって噴出している』

そう言えば昨年は、ロシアやオーストラリア、中国などの穀物生産国が異常気象で大幅
に収穫が減少したと言うし、それに先進国が景気に梃入れする為に市場に大量に供給
したお金使ってハゲタカどもが相変わらずあくどい事をやっているらしい。

農水省のHPを覗いて見ると、2006年から2007年にかけて続いたオーストラリアの大
干ばつや欧州の天候不順のせいで2008年には過去最高値をつけたが、直近の騰勢
はその過去最高値に迫る勢いだそうだ。

この分だと、世界の人口も今後急激に増えるそうだし、やがて米の値段も相当高くなる
に違いない。
昨年秋に、農家が農協へ売り渡した玄米30kgの値段を大雑把に5,000円と想定すると、
1トン当たりで166,667円÷82=2,033ドルとなる。
タイ米のFOB価格と単純に比較すると、未だ日本の方が3.8倍高いが、将来の米不足を
考えて農地を買って備えておいた方が良さそうだ!

〔穀物等の国際価格の動向(単位:ドル/トン)〕…農水省のHPから引用
穀物名過去最高(2008年)A(2006年10月)B(2011年2月)B/A
1,038.0
310.0
534.0
1.72
大 豆
609.2
207.2
526.7
2.54
小 麦
470.3
170.5
313.7
1.84
トウモロコシ
297.1
106.7
267.1
2.50

 ※米は、各月ともタイ国家貿易取引委員会のうるち精米100%2等の第1水曜日の
  FOB価格
 ※小麦・とうもろこし・大豆は、各月ともシカゴ商品取引所の第1金曜日の期近価格

〔1950~2050年に於ける世界の人口推移〕…総理府統計局のデータから引用