里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

ノカンゾウ、ユウスゲ

2006年08月27日 | 山野草
山からの帰り道、道路脇でノカンゾウとユウスゲを見つけた。
私の地方では、圧倒的にヤブカンゾウの方が多く、ノカンゾウは珍しい。
ましてユウスゲに到っては滅多にお目にかかれない代物で、ラッキーであった。

(旧豊松村有木、四日市、8月26日)
ノカンゾウ(ユリ科、ワスレグサ属)ユウスゲ(ユリ科、ワスレグサ属)

ノカンゾウ
本州~沖縄で、原野の溝の縁などのやや湿った所に自生する多年草。
7~8月に径が7cmの1日花をつけるが、花の色には変化が多い。
名前の由来は、野に咲くカンゾウ(ヤブカンゾウ)と言う意味で、赤味の強い物を
“ベニカンゾウ”と言う。

ユウスゲ
本州~九州で、やや乾いた草原に自生する多年草。
夏の夕方から香りの良いレモン色の端正な花を開き、翌朝には萎んでしまう。
名前の由来は、
花が夕方から咲き葉が細長くスゲの様に見える事から“ユウスゲ”と名付けられた
が、花の色から“キスゲ”とも呼ばれる。

※ス  ゲ    :菅笠を作るのに用いる“カサスゲ=笠菅”の事。 
※ニッコウキスゲ:キスゲと同属で、中部地方より北の高原に自生し、橙黄色の花が
           咲く。

オオキツネノカミソリ(ヒガンバナ科、ヒガンバナ属)

2006年08月26日 | 山野草
龍頭峡周辺には、花弁の長さに較べ、
雄シベや雌シベの長い“オオキツネノカミソリ”と、短い“キツネノカミソリ”の
2種類の花がたくさん咲いている。
開花した花は時間が経つと、花弁が少し反り返ってしまうのでなかなか判別し難い
が画像の花は講師のお墨付きで“オオキツネノカミソリ”だそうだ。

講師は70歳台と思われる男性で、木や花を実に良く知っておられるので感心する。
生徒達は、
「1回の講座でせいぜい1~2種類を覚えるのが精一杯で、それも次の回には先生
 に返してしまっている」
と口々に話しあっているが、私も自分だけではない事がわかり胸を撫で下ろした。

(龍頭峡、8月17日)


オオキツネノカミソリ

関東以西に自生する多年草で、
キツネノカミソリより少し大型、
と言う意味で名付けられた。
キツネノカミソリに較べ花も大型。


キツネノカミソリ(ヒガンバナ科、ヒガンバナ属)
本州~九州の、日が当たりやや湿り気のある山野や墓地に自生する多年草。
葉は淡黄色の帯状で早春に出て夏には枯れ、その後8~9月に3~4個の黄赤色6
弁花をつける。

名前の由来は、葉をカミソリに見立てて、狐が使うカミソリと言う意味で
“キツネノカミソリ”と名付けられた。

鱗茎には毒があるが、民間療法では、すり潰して乳房炎や乳腺炎の冷湿布に用いる
と言う。

イワタバコ(イワタバコ科、イワタバコ属)

2006年08月26日 | 山野草
龍頭峡は“龍頭の滝”の下流に位置し周りを切り立った山に囲まれた渓谷で、木
にコケが生えるほど空気中の湿度が高い。


キヨスミイトゴケ
(ハイヒモゴケ科、イトゴケ属)

本州、四国、九州で、湿った谷沿いの
木から垂れ下がる。
名前の由来は、千葉県天津小湊町
の清澄山に因む。


この環境が山野草にとっては快適ならしく、珍しい植物が多く育っている。
その中のひとつがこのイワタバコで、1株に数多くの紫紅色の花をつけるので、遠
目にもクッキリと浮き上がって見え、一段と鮮やかだ。
“タバコ”の名前が付いているが、肺がんの元になるタバコ(煙草)とは別種。
イワタバコ タバコ

イワタバコ(イワタバコ科、イワタバコ属)
本州、四国、九州で山地の湿った崖や岩にコケ類と共に自生する多年草。
1株に1~2枚の垂れ下がった葉(長さは15cm程)を付け、8月頃に径が
1~1.5cmで紫紅色の花が咲く。
名前の由来は、
タバコ(煙草)に似た葉をつけ、岩に着生すると言う意味で“イワタバコ”と名
付けられたそうだが、煙草の葉は長さが70cmにもなり形も似ているとは言い
難い。
民間療法では苦味健胃薬として用い、若葉は山菜として食べられると言う。

タバコ(ナス科、タバコ属)
南米原産でこの葉を乾燥させた物が煙草の原料。  草丈は120cm。
日本へは16世紀に渡来し、この頃から喫煙が始まった。
タバコを栽培する時は、花が栄養分を取ってしまうので、葉に栄養分が集中する
ように花を刈り取ってしまう。

荒行?

2006年08月22日 | 植 林
今日から植林地の下刈りを開始しました。
何しろ炎天下の作業で1日に4リットルの水を飲みながら、しかも蜂や虻の攻撃に晒
されながらの苦闘です。
1日10aが精一杯で、1haを済ませるのに10日くらいは掛かりますので、その
間しばらく休みます。

珍品、アオイカズラ(ツユクサ科、アオイカズラ属)

2006年08月21日 | 山野草
日本では岡山県、広島県など中国地方のみで見られるつる性の1年草。
日本列島が大陸と地続きだった頃の名残の植物のひとつで、しかも絶滅危惧種な
のだそうだ。
しかし、何故かこの貴重種が龍頭峡にはあちこちに生育しており数も多い。
名前の由来は、
葉がカンアオイなどに似ていてつるになる植物と言う意味で“アオイカズラ”と
名付けられた。
8月~9月に特有の形をした白い花をつけるが、1日で萎む1日花なので、そう
多くの花は咲いていない。
知らない人は、花は小さく数も少ないので見逃してしまうほどだ。
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葉(マウスオン)花(マウスオン)


珍品、キクガラクサ(ゴマノハグサ科、キクガラクサ属)

2006年08月20日 | 山野草
近畿地方以西、四国、九州の山地の道端や湿気の多い日陰に自生する多年草で、
草丈は6~10cm。
広島県東部では、龍頭峡、藤尾谷、帝釈峡などで稀に見られる珍しい植物だそう
で、日本の各地でも絶滅危惧種に指定している所が多い。

名前の由来は、葉が菊に似ている上に唐草模様にも見える事から
“キクガラクサ=菊唐草”と名付けられ、別名をボロギクとも言うそうだ。

茎は長く地面を這い節毎に根を下ろし菊の様な葉をつけ、梅雨の頃に葉の付け根
から葉に隠れるように径が7~8mmの白い花をつけるとの事なので、来年は花期
に是非訪れるとしよう。

(龍頭峡、8月17日)


珍品、スズムシバナ(キツネノマゴ科、イセハナビ属)

2006年08月19日 | 山野草
一昨日、2ヶ月ぶりにNHKの野外講座に参加した。場所は隣町の山野町龍頭峡。
台風10号接近で悪天候を心配したが、日頃の行いが良いせいか風も弱く終日曇り
で猛暑の時期なのに快適な一日を過ごした。

今回のお目当てはスズムシバナ。
広島県では、東部から岡山県西部の石灰岩や粘板岩の礫の多い渓谷の林縁にまれ
に見られ、花は朝開いて午後には散ると言う珍しい植物だそうで、講師の先生も
出会う事が出来るかどうかヤキモキしていたが、何と台風をものともせずに参加
した物好き共の一念が通じて初デートに成功した。
スズムシバナ(マウスオン)ハグロソウ(マウスオン)

スズムシバナ(キツネノマゴ科、イセハナビ属)
本州の近畿以西・四国・九州の山地の木陰に自生する多年草で、高さ30~80cm。
夏から秋に上部の葉腋から、緩く曲がった3cm前後のラッパ形で淡紫色の花を
開く。
茎の切り口は四角で、葉は対生し広卵形で鋸歯があり、節や若葉などに長い白毛
が生える。

スズムシバナは、かつてスズムシソウと呼ばれていたが、ラン科にも同名のスズ
ムシソウがあったので、それと区別するためにキツネノマゴ科の方をスズムシバ
ナに変えたそうだ。
和名の由来は、
花の形がスズムシの様に見える事から名付けられたと言う説があるが、ラン科の
スズムシソウの方はそっくりだが、スズムシバナの方は似ていない。
むしろ、スズムシが鳴き始める頃に咲く事から名付けられたと言う説の方が当た
っているようだ。

ハグロソウ(キツネノマゴ科、ハグロソウ属)
関東以西~九州の少し湿り気のある林縁に自生する多年草で、草丈は約50cm。
花は、約2cmで上唇と下唇に分かれた面白い形をしている。
名前の由来は、葉が黒味を帯びた濃い緑色をしている事から名付けられたそうだ。

終戦記念日

2006年08月15日 | 世 相
今朝小泉総理が靖国神社に参拝した。

実は、私の父も靖国神社に祭られている。
私の父は、昭和18年9月に入営し、(昭和22年に届いた公報によれば)フィリピンのルソン島ボンドック道で昭和20年5月に戦病死したそうだ。
当時、既にフィリピン近海に於いては制海権も制空権も無く、全く補給の無い中で
飢えと病気、それに何より家族に対する思いに苛まれながら野垂れ死にしたのであろうが、フィリピンだけで実に50万人以上が戦死したそうで、それを思うと悲惨で哀れな気持ちがこみ上げてくる。

又、母も結婚して僅か2年9ヶ月に満たない結婚生活の後父は戦死し、その後再婚する事もせず、女手一つで我々姉弟を育て両親を看取る苦労を背負った。
現在と違って働く場所も無かった時代に、自分が楽しむ事も無くひたすら生きた母を思うと哀れであり、申し訳ない思いで一杯である。

先の戦争で、従軍した兵隊や軍属、空襲により死亡した人達、その家族達を合わせて何百万人もの人達が、日本全国で私の家族のような悲劇を味わったのである。
それも、元を正せば朝鮮を植民地化し、次いで中国を植民地にしようとして起こした侵略戦争が原因である。
当時の日本のリーダー達は、
外にあっては、例えば朝鮮人に対し、数十万人を徴兵して戦場に送り込み、終戦時には
230万人に達する人達を日本に強制連行して強制労働させたと言う。
現在でも約60万人の在日朝鮮人がいるが、その人達とその子孫であり、彼らが背負った苦労は日本人の比ではない。
又、中にあっては、「死んで帰れ!、死んだら靖国神社で神として祭ってやる!」と町を挙げて侵略戦争に駆り立てる仕組みを作り上げ、日中戦争以来の戦死者230万人、民間人の死者80万人に及ぶ犠牲を強いたと言う。

その様な使命と歴史を持った靖国神社である。
私の亡き父がその様な神社へ、しかもその侵略戦争を強いた指導者と一緒に祭られる事を喜んでいるとは決して思えない。
まして、一国の首相たる者が信教の自由をあげつらって参拝する事は政教分離に反するだけでなく、A級戦犯をも参拝する事は嘗ての侵略戦争を容認していると受け取られかねないので、政治家として断じて許されない事だと思う。

やはり、戦争犠牲者を追悼するには無宗教の国立墓地を設け、国がそれに感謝し追悼するのが最も相応しいと考える。   勿論A級戦犯抜きで!

フシグロセンノウ(ナデシコ科、センノウ属)

2006年08月14日 | 山野草
本州、四国、九州で、山地の湿り気のある林の中などに自生する多年草。
名前の由来は、
茎の節が黒くて、花がセンノウ(仙翁)に似ている事から“節黒仙翁”と名付け
られたそうで、別名の“オオサカソウ”、“オオサカグサ”は、京都から大津へ
抜ける逢坂峠に沢山自生していた事から名付けられたそうだ。
広島県ではこの花も“ボンバナ”と呼び、お墓に供える地方があるらしい。

自然界では緑の中で橙色の花が鮮やかに映え、遠目にも直ぐ見つけられるが、近く
で見ると色あせた感じがして少し物足りない。

(旧・豊松村有木、8月8日)

※センノウ(ナデシコ科、 センノウ属)
 原産地は中国で、京都の仙翁寺に伝わったのでこの名前がつけられた。    
 

ヒカゲノカズラ(ヒカゲノカズラ科、ヒカゲノカズラ属)

2006年08月13日 | 山野草
北海道~九州で、日当たりの良い場所に自生するつる性の多年生シダ植物。
茎は地表を這い枝分かれしながら所々で根を出し、その茎に葉が密生する。
夏季に穂状の花に見える、胞子嚢をつけた穂が立ち上がり、下から順番に開いて
は胞子を飛散させる。

名前の由来は、日陰で蔓のように伸びると言う意味で“日陰の蔓 ”と名付けら
れたらしいが、実際は日当たりの良い所で無ければ育たないそうだ。

面白いのはこの植物の利用方法で、
大昔、天岩戸に隠れた天照大神を誘き出す為に、天字受売命がこのヒカゲノカズ
ラを襷にかけて踊ったと言う。
又、茎や葉は池に入れて鯉や金魚が産卵する藻場の代用品として使ったり、お寿
司屋でネタの飾りに使うそうで、胞子は石松子と呼び、薬や花粉の増量剤として
使用するなど、ワルナスビと違って大活躍する植物だ。

(三和の森、8月8日)
茎と葉胞子嚢穂(マウスオン)