里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

イワナンテンの花

2011年06月30日 | 花 木
イワナンテンの花が咲いた。
岩場に自生し、葉がナンテンに似ている事からイワナンテンと名づけられたらしいが、
ナンテンの葉にはあまり似ていない。


花は、葉腋や枝先から花柄を伸ばした先に数個ついていて、


筒型の先端は僅かに開いていて、まるでおちょぼ口のようで可愛い!


イワナンテン、岩南天(ツツジ科、イワナンテン属)
関東地方~近畿地方の太平洋側で、山地の崖に自生する常緑低木。 
葉は互生し、卵形又は広披針形で厚く光沢がある。  縁には鋸歯があり、先は尖る。
花期は6~7月で、葉腋や枝先から花柄を伸ばし、白色で先が浅く5列した筒形の花を
数個総状につける。
〔名前の由来〕
岩場に生え、葉がナンテンに似ていることからイワナンテンと名づけられた。


猿政山で出合った花達

2011年06月28日 | 山野草

ウリノキ(花)ウリノキ(葉)
ハンショウヅル&サワフタギツルアジサイ
ヤマシグレタニウツギ
サンカヨウ(実)サンカヨウ(実)アップ
オオイワカガミ(実)クガイソウ

ヤマシグレ(スイカズラ科、ガマズミ属)
近畿地方以西で落葉低木。 樹高2m。
葉は狭卵形又は卵形で対生し、枝先に集まる。 縁には浅い鋸歯がある。
花期は6~7月で、枝先に散房花序を出す。 花は紅色の筒状で殆ど開かず、中から5本
の雄しべが覗いている。
〔名前の由来〕
ヤマシブレが訛ったもので、シブレはガマズミの方言。 つまり、山に生えるガマズミの意。


“天女花”を求めて

2011年06月27日 | 花 木
〔登山ルート〕
2日目(6月25日)、出 発。

あれほど降った雨も一夜にして奇跡的に上がり、講師2名を含め総勢17名で喜び勇んで出発。 
車中で猿政山の山頂へ“天女”に逢いに行くと明かされ、大いに湧いた!
吾妻山の南を西に向かい、右折して一旦432号線に出る。
王居山トンネルを出ると直ぐに右折。
110号線(奥出雲高野線)に入って約10分走り、林道毛無俵原線との分岐で下車。
林道毛無俵原線。

林道毛無俵原線一帯は民有林で、アサヒビールの持ち山もあるそうだ。
当日も林道脇では杉の木の間伐が行われており、大きな重機が動いていた。
仕事の邪魔にならないように、緩い勾配の林道を約40分ひた歩く。
登山口到着。

登山口と言っても標識は無く、初めて行った人には絶対に分らない場所だ。
しかも、土が崩れている崖上の際を通らなくてはならないので、特に疲れて下山して来る時には注意が必要だ。
登山口から見た東方の遠景。

登山口から、今やって来た方角(東方)をふり返ると、遠くに吾妻山などが見える。
吾妻山の山頂から見た林道毛無俵原線。

吾妻山の山頂から見ると、猿政山の山腹で所々に土が露出しているのが林道毛無俵原線だ。
今回の登山は、画像の左(南)の広島県側から尾根伝いに登る比較的楽なルートだが、画像右の島根県側から登るルートは幾つもロープ場がある難コースだそうだ。
登山開始。
登山道には踏み後はあるものの、全ルートが腰までのチシマザサに覆われている尾根だ。
民間が所有する山だけに下刈りなどが行き届いていない為に、疲れてくると足に絡んで困ってしまう。
さほど急な登山道ではないが、尾根の幅は相当狭くて両側の谷が深いので、両側の樹木が無ければ結構恐ろしそうな感じだ。
このルート一番の難所。

ロープが張ってあるこのルート一番の難所だが、精々50mほどで大した事はない。
しかし、万一の転落や落石に備えて、一人ずつ登った。
島根県側からの登山ルートとの合流点。

女性が指差している右側が島根県側からの登山道で、左側には嘗て広島県側からの別の登山道があったらしいが、現在は登山禁止とされている為にササなどが繁って跡形もない。。
島根県側からの登山道。
覗いてみると、ササなどに覆われてよく見えないが相当な急峻のようだ。
同行した人の話では「3歩登って2歩ズリ落ちる」ほどで2度と上りたくないルートだそうだ。
又、ネットで検索すると、ここから島根県側に下りる積りが誤って広島県側に下りてしまったせいで、2時間もロスしたグループも居るらしい。
油断するとルートを見失うほどのブッシュだ。
山 頂。

分岐からは緩やかな登りで、約15分で標高
1267.7mの山頂に到着した。
山頂には一等三角点があり、

次のような歌詞の、地元の湯川小学校の校歌も掲げられていた。
  
  「さるまさ山やかんのせの
   清い自然に抱かれて
   友と手をとり学ぶ時
   広い心が湧いてくる
   ああ、われらは湯川小学生」
昼 食。

見通しが悪く狭い山頂で、島根県側からの先客5名に、我々17名が加わると座る場所も無い。
オマケに先客達は山頂で料理をして飲むのが恒例だそうで、その賑やかさに圧倒され、つい
「広島県側へ下りるな」と忠告するのを忘れてしまった!

食事が済むと、いよいよお目当ての“天女花”にご挨拶だ。
山頂から僅かに降りた所で、人の背丈も無い低い木に、良い香りのする白い花が僅かに
うつむき加減に咲いていた。 モクレン科にしては小さな花で、ハスの形をしている。

その気品のある姿ゆえに天女花とか森の貴婦人とも呼ばれているだけに、この花を見
る為に島根県側からロープを伝いながら何時間もかけて登って来る人も多いそうだ。
それだけ珍しくて魅力のある花だった!




オオヤマレンゲ、大山蓮華(モクレン科、モクレン属)、別名:深山蓮華、天女花
本州中部以西で、山野の落葉樹林内などに自生する落葉低木。 樹高は3~5m。
葉は互生し葉柄がある。 広倒卵形で先端は急に尖っていて、鋸歯はない。
花期は5~7月で、径が約10cmの白い花を、横向き又はうつむき加減に咲かせる。
〔名前の由来〕
奈良県の大峰山に自生し、花の形が蓮に似ている事から大山蓮華と名づけられた。


ショウキランの花

2011年06月26日 | 山野草
6月24日、
ひろしま県民の森”が催す“比婆山山系とシークレット”というイベントに参加した。
1泊2日の日程で、初日は施設周辺の森でショウキランを探し、2日目は“天女”に逢い
に謎の場所に行くという企画だ。

降水確率40%という梅雨のさなか、昼食もそこそこに未だ見た事が無いショウキランを
求めていざ出発だ!

途中で樹木や草花の説明を聞きながら、前もって講師が見つけておいた場所に到着。
以前は蹴飛ばしながら歩くほど群生していたらしいが、樹木を伐採したり盗掘に遭った
りして、今や幻の花になっているらしい。
どうやら水が好きなランで、いずれも水辺に生えていた。


6~8月に、いきなり地面から茎を伸ばして淡紅色の花をつけるが、1週間ほどで黒く萎
れて地上部は枯れてしまう儚い寿命の花で、その姿が鍾馗(疫病神や魔を除く中国の神)
に似ている事から名づけられたそうだが、なるほど言われてみるとそう見えなくも無い。
その奇妙な姿には、初めて見るだけに感激した!

ところで、こういった催しで紹介した珍しい植物は、環境が変化した訳でもないのに何故
か急に激減してしまうそうで、このショウキランも例外ではないそうだ。
葉が退化している為に光合成が出来ず、菌類に寄生して栄養を得ている植物なので、
持ち帰っても育つ訳が無いのに困った人達がいるものだ!

幸いな事に雨も降らず、長年の懸案だったショウキランにも出会え、満足して帰った。
この後、夜はフランス料理のフルコースを頂き、翌日はマイクロバスで遠くの山へ講師
つきで登る事になっていて、オマケに4人部屋を一人で独占だ。 これで10,500円とは
随分リーズナブルな料金で有難い。

外は間もなく土砂降りの雷雨となってしまい、翌日の天候を心配して寝付けない夜を過
ごした。



ショウキラン、鍾馗蘭(ラン科、ショウキラン属)
北海道~九州で、山地の日当たりの悪い場所に自生するラン科の腐生植物。
葉は鱗片状に退化していて光合成はせず、菌類に寄生する。
6~8月に、20cm前後の花茎を伸ばし、大きさ約2cmで淡紅色の花を数個つける。
〔名前の由来〕
花の形が鍾馗様に似ている事から鍾馗蘭と名づけられた。


青軸ヒトリシズカの実生

2011年06月21日 | 庭の山野草
普通のヒトリシズカは茎の色が紫褐色だが、茎の色が緑色のものを“青軸ヒトリシズカ
と呼んで珍重しているらしい。
〔H23.5.1、開花〕



この青軸ヒトリシズカ、その後、実が稔って落下し始めたので実生を試みた。
H23.6.14、播種。

種は未だ完熟していないようなので、植土の上にバラマキ約1週間ばかり放置した後、覆土した。


生きている化石 “トクサ”

2011年06月20日 | 庭の山野草
涼しげで良いと思って庭へトクサを植えてみたのだが、至る所へ地下茎を伸ばして繁殖
するので困ってしまった。

そこで、プランターに植えて畑の脇へ放りっぱなしにしているのだが、大昔から生きながら
え、生きている化石と呼ばれているだけに丈夫なものだ!


同属にスギナがあるが、流石によく似ている。

トクサ類のご先祖は大木で、枯れた後は地中で石炭に変わり後世の人間に役立ってい
るが、現代のトクサも木工製品や金属を研磨するのに使われたり、生薬として使われた
りして大いに役立っている。 見た目にはパッとしないが、なかなかの代物だ!


トクサ、砥草(トクサ科、トクサ属)
本州中部以北で山中の湿地に自生する多年生の常緑シダ植物。 草丈は約1m。
横に伸びた地下茎から地上に茎が伸びる。 茎は直立し中空で節がある。
節の部分にある袴が退化した葉で、茎の先端には胞子穂をつける。
〔名前の由来〕
茎で物を研ぐ事が出来る事から砥草(トクサ)と名づけられた。
茎を水洗いして熱湯に通し乾燥させた物は、木賊(もくぞく)と言い生薬として用いる。


カタクリの実生(パート2)

2011年06月16日 | 山野草の繁殖
ササユリ山”では、カタクリの鱗茎(球根)をイノシシが食べてしまい数がドンドン減って
いる。 そこで、何とか繁殖させる為に先ず自宅で実生を試みるべく、時期が来ると山へ
採種に出かけるのだが、早すぎると緑色のままだし、遅すぎると跡形も無くなってしまい、
成熟した実をついぞ見た事がない!

ところが、先日ヤフオクを覗いていたら未だ熟していない緑色の実を出品しており、
追熟させれば発芽する」 と説明してあった。
本当に発芽するのなら、山から未だ熟していない実を持ち帰れば良い訳で、これなら完
熟した実を捜す苦労をしなくても済むので、早速購入して試してみる事にした。

H23.6.8、実を入手。

ポリ袋に密閉した状態で届いたが、中は水滴がついて湿っている。
出品者が発送して3日目に届いたと言うのに、実は未だ緑色をしていて果たして完熟するかどうか心配なくらいだ!
H23.6.10、2日後。

マニュアル通りに、ポリ袋から取り出して皿の上に放置しておいたところ、2日後には種が覗き始めた。
H23.6.11、3日後。

元々成熟していた大きな実は完熟したようで種が露出してきた。
未熟な実もその後2~3日して同様に完熟した。
H23.6.11、播種。

実をもっと湿った状態で完熟させるべきだったかと心配したが、我が家の鉢植えで完熟させたものには及ばないものの、意外にも種は充実しているようなのでそのまま播種した。
H23.5.19、我が家の鉢植で完熟した種。

やはりこちらの方が種が充実していてはち切れそうだ。
来年は、湿った状態で完熟させる方法を試してみるとしよう。



四国覆輪ササユリの花

2011年06月15日 | 庭の山野草
3年前に四国の天狗高原で初めて見た花だが、ササユリの葉の縁が白っぽくなると言う
だけでほかはササユリと全く同じだ。


この四国覆輪ササユリ、そう珍しいと思ったわけではないが、ヤフオクで蕾つきを出品し
ていたので買ってみたのだが、ようやく花が咲いた。


随分華奢で、葉の大きさは1.5×6cmしかなく、普通のササユリの半分くらいの大きさだ。


多分今年の生長が悪かったのだろうが、それにしてもこんな小さな葉を7枚つけているだ
けなのに花をつけさせているのには驚いた!
花弁の裏側がごく僅かに色づいているだけの殆ど白色の花で、少し小ぶりだが香りだけ
は強烈だ!



フクリンササユリ、覆輪笹百合(ユリ科、ユリ属)  
中部地方以西~九州で自生する、葉に白い覆輪のあるササユリ。
その中の、四国特産のものは“四国覆輪ササユリ”と呼ぶ。


ササユリ実生鉢植えの初花(3)

2011年06月14日 | 山野草の繁殖
我が家の庭でササユリの花が1輪だけ開花した。
H16年に12号鉢へドサッと播種しそのまま育てていたのだが、スッカリ手狭になった為に
H22年11月に庭へ移植しておいたもので、初花を見るまでに実に足掛け8年もかかった!


危険分散する為に庭のいろんな所へ移植しておいたが、全く発芽しないものや、発芽した
が枯れてしまったり、1葉しか出なかったものが多かった中で、5枚以上葉をつけたものは
僅か5球で、その内の1球が葉数6枚で開花した。


葉を虫に齧られたりしながらも健気に咲いている、実に貴重な1球だ!



〔栽培記録〕
〔H16年播種〕

バーミキュライトを主体にした普通の園芸用土に、20cm、10cm、0cmと深さを変えて播種し、その上をミズゴケで覆った。
〔H18年6月〕

1年目は発芽せず2年目に発芽したが、どうも表層に播いた物が一番成績が良く、発芽後深さ
3cmくらいの所で球根が出来ているようだ。
〔H18年6月、拡大画像〕

2年目のサイズは、
 葉の長さ×枚数: 3cm × 2 枚
 葉柄の長さ   : 6cm
 鱗形の大きさ :6×9mm
 根の長さ    :11cm
〔H20年5月〕

葉の長さは9cm、葉の数は一番多いもので4枚になった。
〔H22年6月〕

葉の数は一番多いもので8枚、大方は(4)~6枚くらいに増え背丈も30cm強位に成長した。

本来なら葉の数が8枚になれば咲く筈なのだが、密植を嫌うのでこれ以上この植木鉢で育てると、競争に負けたものは消えて行くそうだ。
〔H22年11月〕掘り上げた大きな鱗茎

掘り上げてみると、案の定たくさんの鱗茎が出てきた。 同時に種を播いたのに生長の差が大きく、大小様々な大きさだ。
こんなに沢山あるのでは、一説に寄れば開花球は20cm以上離して植える必要があるそうなので、そんな数の植木鉢は準備出来ない。
〔H22年11月〕掘り上げた小さな鱗茎

そこで、止むを得ず地に下ろす事にしたが問題は場所だ。
山へ移植すると山のササユリがウイルスに感染して全滅する恐れがあるし、我が家では日当たりが良すぎる為に暑さが苦手なササユリには相当厳しい。 色々考えた末、仕方無しに庭へ移植する事に決めた。
〔H23年6月〕

危険分散する為に庭のいろんな所へ移植しておいたが、全く発芽しないものや、発芽したが枯れてしまったり、1葉しか出なかったものが多い。
そんな中で、5枚以上葉をつけたものは僅か5球で、その内の1球が葉数6枚で開花した。