あどけない話 2011-02-25 20:57:47 | 朗読あれこれ あどけない話 智恵子は東京に空が無いといふ、 ほんとの空が見たいといふ。 私は驚いて空を見る。 桜若葉の間に在るのは、 切つても切れない むかしなじみのきれいな空だ。 どんよりけむる地平のぼかしは うすもも色の朝のしめりだ。 智恵子は遠くを見ながら言ふ。 阿多多羅山の山の上に 毎日出ている青い空が 智恵子のほんとの空だといふ。 あどけない空の話である。 高村光太郎「智恵子抄」より 東京・世田谷の大通りを歩いているとこんな看板が。 智恵子に伝えたいーーー。