老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

商売人に政治を任せて、大丈夫なのか?

2025-03-03 09:47:01 | アメリカ
米国は良くも悪しくも、ダイナミックな政治を見せてくれる。大統領に返り咲いたドナルド・トランプ氏はある意味公約通り、思いっきり、好き勝手にアメリカ合衆国の舵きりを始めた。しかも、太いスポンサー(資金源)で決断力の速い、イーロン・マスク氏を取り込んで。この二人に共通しているのは、アメリカ第一主義に名を借りた“自分第一主義”という部分だ。

民意を反映しているか否かは別にして、トランプ氏の政策や方針は単純明快である。自分に反対し、批判する者は“You are fired!(おまえはクビだ!)”と切り捨て、大統領権限下の政府組織にもそれを駆使する。歴代大統領や前政権が築いてきた価値観や法的整合性(それが違法か否か)など検討もせず、大統領令を優先させる。まるで、アメックスの決済無制限プラチナカードを与えられたワンマン経営者が「オレって最強じゃん!」とクレジットカードを使いまくっているように見える。その支払い(ツケ)はアメリカ国民だというのに・・・それでも、彼は言うだろう。「その国民がオレを選んだのだから、ナニが悪いんだ?」と。

そして遂に、彼は世界中の金持ちに対して500万ドル(約7億5千万円)でグリーンカード(米国永住権)を販売すると言い出した。その名も「トランプ・ゴールドカード」!私の友人はグリーンカードを取得するために米国へ渡り、ネイティヴな英語をマスターし、弁護士を伴う手続きに多額の費用を払い、3年以上の歳月をかけて取得したという。9.11同時多発テロ以降、外国人には厳格な審査を伴う“狭き門”だったというのに。つまり「アメリカに大金が転がり込む」という大胆かつ単純な発想である。その効果は「歳入の増加と雇用の創出」というが、これはアメリカをカネで売るようなものではないか。悪いジョークにもほどが・・・いや、彼は本気である。トランプ氏はアメリカの大統領ではなく、株式会社アメリカの経営者に見える。

そう、彼はビジネスマンなのだ。もちろん、マスク氏も。おそらく、彼らは善悪ではなく「損得」「カネ」で国際政治を「経営」しようとしている。そう考えると、二人の言動は理解しやすい。ネット記事を参照して、その具体的なテクニックを例示する。

① 大きな商取引・契約(ディール)においては、初めに突拍子もない無理難解な交渉条件を吹っかける。それで怯んだ相手に、少しだけ譲歩した現実的な交渉条件を提示して呑ませる。
② 自分がディールしたい本命をB案として、交渉相手にA~Cの3案を提示する。A案は大変魅力的だが高価なもの、C案は安価だが魅力に乏しいもの、B案はA案を少しだけ安くしたもの。すると多くの場合、交渉相手はB案を選ぶ。
③ ディールの当初は自分から友好的かつ温厚に話を進める。話が具体的になり熱気を帯びてきたところで突然、何の脈絡もなく怒り出し、難癖をつけ始める。交渉相手は面食らい、慌てて自分に非があったのではないかと疑心暗鬼に陥り、思考が混乱する。そこで交渉のペースを自分に引き寄せ、話を有利に進める。これはヤクザやそのフロント企業がよく使う手法である。

トランプ氏は不動産業界において強引で巧みな交渉術と合法的な脅し(?)を駆使し、大金持ちになったと言われている。彼はそのスタイルを米国内と国際政治に持ち込み、善悪・礼儀・協調・弱者への思いやりなどは置き去りにしているのだろう。

国際政治学者や評論家の中には「ウクライナ紛争を含め、停滞した状況ではトランプ氏のようにダイナミックかつ迅速に言動する人が必要」「彼は強欲で単純な人間ではない。したたかに計算して“演出”しているのだ」という人もいる。今回、ゼレンスキー大統領との会談でも前述したビジネス・テクニックを使ってウクライナを懐柔し、ロシア寄りのメッセージを発信したように思える。それを「ロシアと友好関係を築き、中国を分断させるトランプ流の交渉術」だと大局的な見方と捉える識者もいた。世界は米国vsロシアからvs中国にシフトする、と。

しかし、理不尽にウクライナを侵略するロシアを棚上げし、NATOとロシア共栄圏との緊張・均衡状態を無視し、EUとの協調関係を壊すことはどうなのか。全て更地にして、スクラップ&ビルド・・・国際政治は不動産業のような一方的で強引な進め方は通用しない。ゼレンスキー大統領が冷静に対処して折れないので、トランプ氏は立腹して会談を打ち切ったように見える。

共和党と民主党の皆さん、ビジネスマン大統領&「トラの威を借る」副大統領に米国を、国際政治を任せていいのか?とうに過ぎた話だが、「ノストラダムスの大予言」にある“恐怖の大魔王”、実はドナルド・トランプ・・・と妙なこじつけを考えてしまった。

「護憲+コラム」より
猫家五六助

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