老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

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日米関係の戦後史:岸信介元首相とアメリカ政府の「密約」

2021-09-17 13:20:35 | アメリカ
「アメリカ政府は朝鮮戦争の後で、冷戦に対応できる日本政府の協力者をスカウトした。それが首相になる前の岸信介だった。」

今回も、矢部宏治さんの「知ってはいけない」(その2)を参考に、日米関係の戦後史を問題にしていきます。

矢部氏は、この本の「はじめに」で本書の概略をかなり具体的に述べている。すなわち、

「今年は(2018年)6月には歴史的な米朝の首脳会談までが実現した。(朝鮮戦争の)『終戦宣言』が、いつ出されてもおかしくない状況となっているとして、日本の大きなチャンスのはずだと思われる。なぜなら、本書のパート1で述べたように、現在の日本とアメリカの間に存在する異様な従属体制の本質は、いまから70年前に、日本の独立直前に起こった朝鮮戦争の中で生まれた『米軍への主権なき軍事支援体制』、いわゆる『朝鮮戦争レジーム』にあるからです。」とする。

続けて、矢部氏は「世界中が首をかしげた安倍首相の行動」という見出しで、次のように述べている。

「この『分断された民族の融和』と、『核戦争の回避』という誰もが祝福すべき大きな歴史の流れに対して、世界でただ一か国だけ、なんとブレーキをかけようと最後まで抵抗し続けたのが、自国がもっとも核ミサイルの危機にさらされていたはずの日本の首相と外務省だったのです。」と。

さらに、続けて、矢部氏は「なぜ日本だけがまともな主権国家になれないのか」というタイトルで、次のように言っている。すなわち、

「そこで、本書では、その異様な体制が70年たったいまも、『なぜ、続いているのか』という、戦後日本の<最後の謎>に挑戦することにしました。」として、「第二次世界大戦のあとも、アメリカの軍事同盟のもとで主権を失っていたドイツやイタリアなどの多くの国々、それと韓国までが、正常な主権国家への道を歩み始めているにもかかわらず、なぜ日本にだけそれができていないのか」と問いかけて、次のようにその「謎解き」を示している。

「その謎を解くための最大の鍵が、いまから60年前、現在の安倍首相の祖父である岸信介首相が行った『安保改定』と、そのときアメリカとの間で結ばれた『三つの密約』の中に隠されていたのです。」

そして、さらに、矢部氏は、「朝鮮戦争レジーム」が、日本列島の中にだけ残される可能性がある、と重大な予測を述べている。つまり、政府自民党の「朝鮮戦争レジーム」の担い手としての行動パターン;安倍晋三の不可解な行動が象徴するように、「準戦時体制」を維持するという<政治的ベクトル>が存在するからだという。

本家本元の朝鮮半島で消滅した「朝鮮戦争レジーム」が、その原因となった朝鮮戦争が終わった後も、アメリカとの二国間関係として、日本列島の中にだけ残されてしまう可能性が高いのだとする。

そして、結論的に、矢部氏は「私たちには『ポスト戦後日本』の行方を正しく選択する大きな歴史的責任がある」と述べている。(その処方は著書に詳しい)

◎では、当時のアメリカ政府は岸信介を「アメリカの反共政策の協力者として、いかに獲得できたのか。」これが重要な問題点であり、謎の解明のキーポイントといってよいだろう。

岸信介は戦時中に東條内閣の商工大臣として活躍した経歴の持ち主であり、日本が中国侵略への大きな足掛かりとして満州国を建国したが、その経済的な基盤である財政運営において辣腕を振るった「革新官僚」であり、商工大臣に任命されていたのである。

その経歴からすれば、当然にA級戦犯として巣鴨プリズンに収容されていたのである。ところが、東条以下のA級戦犯が「東京裁判」で処刑された翌日の1948年12月24日に岸信介は巣鴨から出獄している。これは誰が見ても、大きな謎であろう。

その「謎」を解くカギは、アメリカの朝鮮戦争後の冷戦体制への対応にあり、冷戦構造を有利に戦うための、日本の「再軍備」と日米関係の「見直し」にあった。反共政策の協力を日本政府に求める必要が大きく、その協力者として、最大の候補となった「人物」こそが岸信介その人だったのである。

次回は、何故、岸に白羽の矢が当たり、岸が何故、アメリカの協力者となったのか、その問題を具体的に明らかにしたい。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵

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