老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

トランプ米大統領とどうつきあうか

2025-02-10 22:39:59 | アメリカ
2月7日にアメリカ・ワシントンで行われた石破首相とトランプ大統領による日米首脳会談は、多くの日本国民が抱いていた不安・懸念の割には平穏に終わり、上々の出来というのが大方の評価となった。

私自身も、トランプ大統領が大統領就任以来矢継ぎ早に大統領令に署名し、荒っぽく独善的な政策を繰り広げようとするのを見ていただけに、会談が終始和やかな雰囲気で行われ、石破首相とトランプ大統領の間に一定の信頼関係が成立したことに驚くと共に、具体的な無理難題をとりあえず押し付けられなかったことに安ど感を覚えた。まずは石破首相の日本の政治家トップとしての見識と、外務省職員らの事前準備の周到さを率直に評価したいと思う。

今回の会談についてマスコミが好意的に伝えたいくつかのエピソード、例えば、共同記者会見で石破首相が「恐ろしい方との印象がなかったわけではないが、誠実で強い意志を持ち、世界に対する強い使命感を持っている方」と言ったトランプ評や、「高額関税があれば報復措置をとるか」という記者の質問に「仮定の質問には答えられない、それが日本の国会答弁です」とアメリカ人が好むユーモアに包んだ回答には、石破首相の考える「あるべきリーダー像」や、「性急に言質を取らせない」意思が見られて、石破首相の知性が感じられた。

ついでに言えば、お土産の「金のかぶと」も、トランプ氏の「金色好き」への忖度はともかく、日本の歴史文化の紹介や石破氏の郷土愛と共に、ドラマ「SHOGUN将軍」のヒットや大谷翔平ブームという今の日本の明るい側面をも示す、優れた選択だったと思う。

こうして、日本への悪影響はひとまず回避し、とりあえずほっとした私たちだが、トランプ大統領の「MAGA―アメリカ第一主義」の暴走が治まったわけではない。

対外的には、不法移民や薬物のアメリカ流入を防ぐためと称するカナダやメキシコへの高額関税の表明、グリーンランドをアメリカが所有すべきとの言及、パリ協定からの離脱表明、WHOの脱退表明、果ては、パレスチナ・ガザ地区を「引き取り」、「所有」し、その過程で住民を移住させるという妄言。

国内的には、イーロン・マスク氏や元FOXニュース司会者ピート・ヘグセス氏らの政府要人への起用、自身の味方に対する恩赦の乱用、USAID=アメリカ国際開発庁の閉鎖、米国籍の「出生地主義」大幅制限、等々、「法の支配」「多様性」「人権」等、民主主義の根幹となる価値感を、これ見よがしに否定し続けている。

今回の首脳会談の結果にひとまずホッとしたとはいえ、軍事力と経済力とポピュリズムを武器に、「MAGA」を掲げて暴走を続けるトランプ大統領に、日本は、そして日本国民はこの先どう付き合っていけば良いのか。

日本政府には、首脳会談では触れられなかった高額関税や防衛費増額、安全保障体制などの具体的な課題について、今後アメリカの脅しに屈し安易に妥協することのないよう、「誠実で強い意志を持ち、<日本と>世界に対する強い使命感を持って」判断、対応することを期待しつつ、政府の動きを監視・注文し続けたいと思う。

それと同時に、私たち自身が、自由で平和な世界を求めて今を生きる世界の人々と共に、世界を混乱に陥れるトランプ大統領の危険な言動に、明確な「NO」を示し続けることが、今は何より重要なのではないだろうか。

「護憲+コラム」より
笹井明子

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