老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

スルースキルだけでは現状を打破できない

2021-05-17 10:15:57 | 菅政権
目の前に手ごわい敵が現れたとき、その敵をいないことにしてしまう、ないものと思いたくなるのは、生き物として当然のことである。そして、物理的に距離を置くことによって敵が自然消滅することも起こりうる。文字通り水に流して最初からなかったことにできる場合もあるだろう。

しかし、今、人類が立ち向かわないといけない敵はそう簡単に手を緩めてくれない。そうなると、いつまでもスルーを続けていても戦況は変わらないどころか悪化の一途をたどるばかりだ。

まさにスルーを続けた結果、危機的状況を迎えているのが現在の日本である。市民の行動変容に一任していれば公的な感染症対策はそれほど行わなくても流行は下火になるだろう、という見通しでこの一年を過ごしていたために、一年前よりも感染がより広範囲かつ速いスピードで拡大している。

国内にウィルスを流入させないための検疫や入国制限は最低限しか行わず、感染しても自覚症状がない人が半数近くを占める事実が判明しているにもかかわらず、感染者を特定するための検査を抑制してきた。

私たちの代表者たちは、病原体に対してだけではなく、自らの心身と生活を脅かされている市井にたいしても同様にスルーの姿勢を貫いている。今日に至るまでオリパラは必ず開催するというばかりで、具体的にどのような感染症対策を施すのか、感染者が出た際の対応などには具体的には答えず、記者に聞かれても毎回のようにスルーしている。国内での感染再拡大をスルーして、アメリカに行った際にも五輪に関する質問をスルーしてかわす姿勢は崩さなかった。

東アジアとオセアニア地域内では最悪レベルの流行であることも、医療崩壊がすでに起きてしまったことも無視し、検疫などの水際作戦も検査も強化せず、予防接種で集団免疫を獲得することも喫緊に必要であるとは考えてこなかったのだろう。他国は大量に検査を行い、無症状感染者をあぶり出して保護し、さらにはワクチン接種を急速に進めて感染症を下火にしているなかで、日本は現在も出口が見いだせないでいる。

政府が生活者たちをスルーしてきた結果として、現在では自国民から逆にスルーされるようになってしまったのではないか。五輪については日常生活ではもはや話題になることもなく、大規模な世論調査やアンケートにおいても今夏に開催すべきではないという意見が多数を占めるようになった。国外向けに「国民が望んでいるから五輪を開催したい」という主張はできず、それは明らかな誤りということになってしまう。

そして、その国外でも今夏の五輪開催は中止するという報道や、取りやめるべきという主旨の論説が、今年の年明け以降に相次いでいる。なにより日本国内同様に東京五輪については話題にもならないというのが現実だろう。報道だけではなく、すでに個人単位で出場を辞退する代表内定者や日本国内での事前合宿を取りやめるチームが相次いでいる。国外からも日本政府の姿勢はスルーされているのではないか。

仮に夏になるまで無視し続けていても、その後長きにわたって国際社会から信頼されなくなるだけだ。そして何より国民から支持されなくなるだろう。

「護憲+コラム」より
見習い期間

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