老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

菅戦前型ファッショ政権の正体!(国民には何も知らせる必要なし)

2020-10-11 10:41:18 | 菅政権
菅政権が、学術会議推薦人事を6人まで拒否した。安倍政権以降の言論弾圧がついにここまで来たのか、という驚きが広がっている。

戦前の日本の歴史を少しでも勉強した人間にとっては、今回の菅政権の学術会議推薦の人事拒否は、京大の滝川事件、美濃部達吉の天皇機関説を思い起こさせる重大事件である。

戦前の歴史をよく知る小沢一郎が「菅政権は怖ろしい」と語っているが、その通りだ。

10月8日のTV朝日の大下容子ワイドスクランブルで、コメンテーターの末延某が、「今回の学術会議推薦人事拒否問題は、この問題に反対の論陣を張るメディアと賛成のメディアの色分けを鮮明にするのが菅首相の狙い」だと語っていた。

末延某が語っているのは、【菅政権の意向に反するメディアは、排除する】というのが、官邸の意向だと言う事。【学術会議推薦人事の賛否】は、その踏み絵だと言っているに等しい。

この指摘が正しいならば、任命拒否は、菅の政治的立場の表明であり、任命拒否の相手は誰でも良い事になる。要は、問題を大きくして、反対者(メディア、学者、評論家)から、これ以降自分に敵対する連中や組織をあぶり出し、言論弾圧の対象にしようと言うわけだろう。

現に菅首相は、拒否された6人の名前を知らないと発言しているようだが、この問題について弁護士郷原氏も書いている。
・・・日本学術会議問題は、「菅首相の任命決裁」、「甘利氏ブログ発言」で、“重大局面”に・・郷原信郎
https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20201010-00202356/

戦前の言論弾圧でもそうだったが、学問に対する弾圧が始まった時は、日本の言論状況は、ほとんど死に瀕していると考えなければならない。

映画監督の是枝氏などが、「言論の自由」が侵されているという事は、「表現の自由」が侵されていると同じだ、という危機感に溢れたコメントを発表していたが、その通りである。

その一つの証拠が、国境なき記者団が発表する【報道の自由度ランキング】の2020年度では、日本は66位。G7最下位。安倍晋三前首相が価値観を共有する外交などとほざいていたが、「報道の自由」などは民主主義国のイロハのイ。それが最下位なのだから、何の価値観を共有するのだと言う事だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/679e205708979174b0c8248f480d107be2fbe5a6

今回の問題でも、朝日・毎日・東京新聞などは、一面で扱い、問題の重大性に警鐘を鳴らしている。しかし、読売・産経・日経などは、扱いが小さく、あまり問題にしていない。

報道機関・学問などの言論に対する弾圧が強行されると言う事は、国民の言論状況はもはや死に瀕している、と考えなければならない。

例えば、小泉今日子さんに対するネット上での暴言などを見れば、戦前の隣組の監視体制とほとんど変わらない。コロナ騒ぎの時の「自粛警察の跋扈」は、その良い例である。今や社会が【物言えば唇寒し】の状況に陥っているという鋭い感性を持たなければ、この危機を感知する事はできない。

以前、丸山真男の話で紹介したことがあるが、ナチス・ドイツに抵抗できなかった理由について、マルティン・二―メラーは以下のように語る。(是枝氏らも声明の中で引用している)

・・ナチスがコミュニスト(共産主義者)を弾圧した時、私は不安に駆られたが、
自分はコミュニストではなかったので、何の行動も起こさなかった。
その次、ナチスはソーシャリスト(社会主義者、労働組合員)を弾圧した。
私はさらに不安を感じたが、自分はソーシャリストではないので、何の抗議もしなかった。
それからナチスは学生、新聞人、ユダヤ人と、順次弾圧の輪を広げていき、
そのたびに私の不安は増大したが、それでも私は行動に出なかった。
ある日ついにナチスは教会を弾圧してきた。
そして私は牧師だった。
だから行動に立ち上がったが、その時は、すべてがあまりに遅過ぎた。・・・・
※マルティン・ニーメラーのことば   http://www.syuppan.net/kyoto/s2-kan-07.htm

「言論の自由」とはそういうものだ。

今回の学術会議任命拒否問題でも、日が経つにつれて、権力側が何年もかけ、如何に周到に準備し、計画的に進めているかが明らかになってきている。

安倍政権下で始まった言論弾圧の第一歩は、2013年8月の内閣府法制局長官人事。この人事で駐仏大使の小松一郎氏を任命。内閣法制局からの繰り上げ人事に風穴を開けた。小松氏は安全保障の考え方が安倍首相の考え方に近い、というだけの理由で、法制局長官に外務官僚がなるという前代未聞の人事を強行した。

小松氏が急逝したため、次の法制局長官には、横畠祐介氏。彼は法制局からの昇任人事だったが、彼の在任中の一番の仕事は【集団的自衛権の承認】だった。歴代の法制局長官が決して認めなかった【集団的自衛権の承認】をするというのが横畠氏の仕事だった。人事権を掌握して、戦後の憲法解釈を変更させたのである。

さらに日銀の人事に介入。黒田氏を登用。黒田バズーカと呼ばれる異次元の金融緩和やEPFによる株式購入、さらに国債を大量に購入。本来独立した機関であるべき日銀を政府方針で完全にコントロール。本来、株価が示す日本市場の羅針盤の役目を完全に放棄。今や、株式市場は、完全なマネーゲームの主戦場となった。

その他、NHK会長人事に介入。政権と関係の良い人物を会長に就任させる。NHK内部のリベラル派を一掃。NHKニュースの不偏不党は失われ、政権の広報誌化している。

また、TV朝日の報道ステーションから久米宏氏が降板。古舘伊知郎が登板。コメンテーター古賀正明氏の「I am not Abe」事件などがあり、古館氏が降板。というように、政府の圧力が顕在化。報道機関からリベラル派が放逐され続けており、報道機関の萎縮化が進み、今やほとんど「大政翼賛会」ではないかと思えるほどである。

霞が関官僚に対しては、官僚の人事権を掌握する事により、ヒラメ官僚・忖度官僚を大量輩出。骨のある有能な官僚がきわめて出にくい環境を作り出している。(※典型的な例が、財務官僚)

このように、「人事権」を梃子にメディアや官僚などを支配し続けたのが安倍政権。その中心人物が菅官房長官。彼は、人事権を人質にして支配する権力者の暗い満足感に酔いしれているのかもしれない。

菅首相が理解していないのは、「人事権は鋭い刃」だと言う意味。人事権で人を支配できるが、同時に多くの人を深く鋭く傷つける。人事権を振るい過ぎると、大量のヒラメ人間と闇に深く沈殿した多くの恨みを生み出す。

物言わぬ組織は生気を失い、ただただ上の命令だけを聞けば良いという澱んだ空気が支配する。一言で言えば、組織の人間の発言の『自由』が失われると、その組織の存在意義がなくなるのである。理非曲直をただすのでなくて、すべてが忖度で決定する。全ての人間と組織が腐臭を放ちだす。

何度も言うようだが、【権力は自制的に行使する】事は、権力者の理性と知性に依存する割合が大きい。知性も理性もない権力者を戴くと、際限のない【権力の行使】が行われる可能性が高い。こういう組織や国家は必ず滅亡する。安倍・菅政権が続くと、我が国は、歴史が教える組織や国が滅亡する道を確実に歩むだろう。

その一つの証拠が、今回の問題に対する外国の評価であろう。以下の記事を読めば、今回の問題に対する海外の評価が分かる。ネイチャー、サイエンス、ル・モンド、フィナシャルタイムズ、ロイターなどの記事はいずれも今回の問題を「政治の学問への介入であり学問の自由への脅威であると扱っており、その理由も自身が官房長官を務めていた安倍政権の政策への批判が原因と指摘」している。

※日本学術会議の任命拒否問題を世界最高の学術誌「サイエンス」「ネイチャー」が批判、海外の一流紙からも「非情な黒幕」「学問の自由への攻撃」など問題視する声
https://buzzap.jp/news/20201008-science-council-of-japan-overseas/

このまま強引に押し通せば、日本は学問の自由がない国と目されるだろう。

悪いことに、現在はノーベル賞ウィーク。学問に対する世界中の注目が集まっている時。菅政権が如何に井の中の蛙かと言う事が良く分かる話である。

「護憲+BBS」「政権ウォッチング」より
流水

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 菅首相による「日本学術会議... | トップ | 「鵺の鳴く世は恐ろしい」け... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

菅政権」カテゴリの最新記事