以前、このコラムで「(連立を含む)与党に国会の過半数を与えない」国政について記した。与党が国会で過半数を占めた場合でも少数派の意見に耳を傾け、野党に説明責任を果たす・・・こうした性善説や政治家の矜持は、安倍晋三の長期ゴーマン政権によってズタボロにされ、司法を捻じ曲げる瀬戸際に至った。連立少数側の公明党がブレーキ役を果たせない苛立ち、厚顔無恥・私利私欲・野望に満ちた自民党トップの振る舞いに成すすべもなく・・・だから、政局が混迷し「ナンデモ反対の野党に決められない政府、国会」と言われようが、連立与党に過半数を与えてはいけない、と。
今回の解散総選挙の結果、自公ともに議席を大きく減らして「連立でも過半数にならない」国会になった。最悪続きの政権を引き継いだ石破首相が箸の上げ下げまで批判されているが、自民党自体が“溶けたアイスクリーム”状態なのだから仕方ない。来年の参議院選まで、日本の舵取りは姑息で優秀な官僚機構に任せるしかないだろう。
とにかく、これで「野党や少数派の意見に耳を傾け、説明責任を果たす」政権にリストラできる・・・と思っていたところ、韓国で「非常戒厳」が宣言されて治安維持部隊が国会へ突入したことをニュースで知った。少数派与党の大統領が戒厳令を発動とは!追い詰められた一人の政治家が軍隊を動かし、民主主義や言論の力を抑え込むことができるなんて・・・隣国の事件とはいえ、現実に無茶苦茶なことが起きたことに衝撃を受けた。
ところが識者によれば、日本でも将来的に同様な事件を引き起こす可能性があるという。それは安倍政権が憲法改正により憲法条文に「緊急事態条項」を盛り込もうと画策したこと。そして今年に入り、自民党の「憲法改正の実現を目指す」議員連盟が条文案を作成し、議論のテーブルに載せた。
◆自民議員連盟、自衛隊明記と緊急事態条項新設の条文案を作成
(2024.6.21付、NHKニュース)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240621/k10014488101000.html
これまで日本国憲法を軽視し、違憲状態や閣議決定で骨抜きにしてきた政府自民党。今度は非常事態に乗じて三権を掌握し、権力者に都合の良い法律を思い通りに作ることができる。「緊急事態条項」には、そういった危険性が潜在しているという。「他国に作らされた憲法」「時代遅れの憲法」「護憲派はお花畑」という揶揄する改憲派・ネトウヨは、権力集中により国家が暴走しないような仕組みや安全装置にまで頭が働かない。
◆憲法改正「緊急事態条項」は本当に必要なのか? 被災者を支援してきた弁護士が分析
(2018.5.3付、ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/kinkyu-jitai-joukou_jp_5c5d6bc8e4b0974f75b26725
韓国の「非常戒厳」宣言は国会決議により約6時間で解除され、治安維持部隊による逮捕者や死傷者は出なかったとのこと。それには一般市民・国民が宣言阻止に動いた勇気ある行動と軍隊のジェスチャーに近い対応が奏功したという。「非常時に軍隊が上意下達で忠実に命令を実行しなかったのは問題だ」という日本人もいるが、私は命令・ルールよりも常識的な判断を優先し、国民と民主主義を裏切らなかった治安維持部隊に拍手を送りたい。
もしも日本で政府が同様な暴挙に出た場合、自衛隊はどのように動くだろうか。一般人・国民は大挙して国会に押し寄せるだろうか。律儀でマナーを守り、和を乱さない、集団心理に弱い、長いものに巻かれる日本人。さて・・・安倍政権以来、政府自民党は「シビリアンコントロール」を“絵に描いた餅”にしてしまった。自衛隊の不祥事・事件・事故への対処や追及は甘く、自衛隊内のハラスメントや公益通報者への不利益が続いている。むしろ、政府自民党のほうが自衛隊の縛りを緩め、専守防衛を崩しているのだから。
今からでも遅くない。野党は「国旗・国家は強制しない」「自衛隊は空母を保有しない」等について政府与党を追及し、なし崩し的運用を猛省させるべきである。警察力や武力(自衛隊)を御すべき政治家に、それらを都合よく使わせない。政治家の「上」に市民・国民がいることをアタマに叩き込ませる。昭和20年8月と初心に帰り、民主主義や三権分立に基づく「シビリアンコントロール」を徹底させなければならない。
「護憲+コラム」より
猫家五六助
今回の解散総選挙の結果、自公ともに議席を大きく減らして「連立でも過半数にならない」国会になった。最悪続きの政権を引き継いだ石破首相が箸の上げ下げまで批判されているが、自民党自体が“溶けたアイスクリーム”状態なのだから仕方ない。来年の参議院選まで、日本の舵取りは姑息で優秀な官僚機構に任せるしかないだろう。
とにかく、これで「野党や少数派の意見に耳を傾け、説明責任を果たす」政権にリストラできる・・・と思っていたところ、韓国で「非常戒厳」が宣言されて治安維持部隊が国会へ突入したことをニュースで知った。少数派与党の大統領が戒厳令を発動とは!追い詰められた一人の政治家が軍隊を動かし、民主主義や言論の力を抑え込むことができるなんて・・・隣国の事件とはいえ、現実に無茶苦茶なことが起きたことに衝撃を受けた。
ところが識者によれば、日本でも将来的に同様な事件を引き起こす可能性があるという。それは安倍政権が憲法改正により憲法条文に「緊急事態条項」を盛り込もうと画策したこと。そして今年に入り、自民党の「憲法改正の実現を目指す」議員連盟が条文案を作成し、議論のテーブルに載せた。
◆自民議員連盟、自衛隊明記と緊急事態条項新設の条文案を作成
(2024.6.21付、NHKニュース)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240621/k10014488101000.html
これまで日本国憲法を軽視し、違憲状態や閣議決定で骨抜きにしてきた政府自民党。今度は非常事態に乗じて三権を掌握し、権力者に都合の良い法律を思い通りに作ることができる。「緊急事態条項」には、そういった危険性が潜在しているという。「他国に作らされた憲法」「時代遅れの憲法」「護憲派はお花畑」という揶揄する改憲派・ネトウヨは、権力集中により国家が暴走しないような仕組みや安全装置にまで頭が働かない。
◆憲法改正「緊急事態条項」は本当に必要なのか? 被災者を支援してきた弁護士が分析
(2018.5.3付、ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/kinkyu-jitai-joukou_jp_5c5d6bc8e4b0974f75b26725
韓国の「非常戒厳」宣言は国会決議により約6時間で解除され、治安維持部隊による逮捕者や死傷者は出なかったとのこと。それには一般市民・国民が宣言阻止に動いた勇気ある行動と軍隊のジェスチャーに近い対応が奏功したという。「非常時に軍隊が上意下達で忠実に命令を実行しなかったのは問題だ」という日本人もいるが、私は命令・ルールよりも常識的な判断を優先し、国民と民主主義を裏切らなかった治安維持部隊に拍手を送りたい。
もしも日本で政府が同様な暴挙に出た場合、自衛隊はどのように動くだろうか。一般人・国民は大挙して国会に押し寄せるだろうか。律儀でマナーを守り、和を乱さない、集団心理に弱い、長いものに巻かれる日本人。さて・・・安倍政権以来、政府自民党は「シビリアンコントロール」を“絵に描いた餅”にしてしまった。自衛隊の不祥事・事件・事故への対処や追及は甘く、自衛隊内のハラスメントや公益通報者への不利益が続いている。むしろ、政府自民党のほうが自衛隊の縛りを緩め、専守防衛を崩しているのだから。
今からでも遅くない。野党は「国旗・国家は強制しない」「自衛隊は空母を保有しない」等について政府与党を追及し、なし崩し的運用を猛省させるべきである。警察力や武力(自衛隊)を御すべき政治家に、それらを都合よく使わせない。政治家の「上」に市民・国民がいることをアタマに叩き込ませる。昭和20年8月と初心に帰り、民主主義や三権分立に基づく「シビリアンコントロール」を徹底させなければならない。
「護憲+コラム」より
猫家五六助
