92万都市・世田谷区の区長、保坂展人さんは、2011年に区長に就任した際、行政幹部を前に「5%改革」を提示。
「役所には、法で決められた仕事、定番となっている仕事がたくさんある。それは間違いなくやってほしいし、仕事全体の95%はこれまでやってきたことを継続することで構わない。ただ、100%継続では何も変化が起こらず、よどみが生まれてしまう。だから、残りの5%は大胆に変えて行ってほしい」と語ったそうです。
『「5%」とは小さな数字のように見えるが、1年目で5%を変える、翌年、変わっていない95%のうちの5%をまた変える、これを繰り返していくと、8年で3割以上、12年で半分近くが変わる計算になる。目指すのは、旧来のものを破壊して組み立て直すのではなく、らせん階段のようにだんだんと、着実に改革をしていくというやり方だ』と、保坂さんは言います。
こうして、保坂さんは、地元住民や区職員と対話を重ね、「参加と協同」のボトムアップの形で、「エネルギーの地域間連携」「保育の質を落とさない待機児童対策」「構想ビルを建てない下北沢再開発」「同性パートナーシップ制度」「自然の力を生かすインフラ整備」等々、住民の暮らしをよくするための政策を積み重ねていきます。
そして今、保坂さんは世田谷区内の実践に止まらず、自治体同士が政策を共有し、ときに連携して課題解決に取り組めるようにと、政治学者の中島岳志さん、杉並区長の岸本聡子さん、多摩市長の阿部裕行さんらと共に、全国の首長や地方議員をつなぐネットワーク「LIN・Net」をたちあげ、「地域主権と民主主義」の実現を目指した活動を進めています。
著書「国よりさきに、やりました」は、そんな保坂さんが、『この時代を覆っている「無力感」を吹き飛ばして、道は険しくとも到達できる複数のルートがある、政治は変えられる、社会も動きだす、という「希望」を読者に共有してほしい』と願って、これまで実践してきた、こうした具体的な政策を紹介したものです。
コロナウィルスの蔓延、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区攻撃、裏金問題に揺れる国内政治、等々、ともすれば「絶望」しそうな時代に生きる私たちにとって、今読んでおきたい、背中を押してくれる著書でした。
「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
笹井明子
「役所には、法で決められた仕事、定番となっている仕事がたくさんある。それは間違いなくやってほしいし、仕事全体の95%はこれまでやってきたことを継続することで構わない。ただ、100%継続では何も変化が起こらず、よどみが生まれてしまう。だから、残りの5%は大胆に変えて行ってほしい」と語ったそうです。
『「5%」とは小さな数字のように見えるが、1年目で5%を変える、翌年、変わっていない95%のうちの5%をまた変える、これを繰り返していくと、8年で3割以上、12年で半分近くが変わる計算になる。目指すのは、旧来のものを破壊して組み立て直すのではなく、らせん階段のようにだんだんと、着実に改革をしていくというやり方だ』と、保坂さんは言います。
こうして、保坂さんは、地元住民や区職員と対話を重ね、「参加と協同」のボトムアップの形で、「エネルギーの地域間連携」「保育の質を落とさない待機児童対策」「構想ビルを建てない下北沢再開発」「同性パートナーシップ制度」「自然の力を生かすインフラ整備」等々、住民の暮らしをよくするための政策を積み重ねていきます。
そして今、保坂さんは世田谷区内の実践に止まらず、自治体同士が政策を共有し、ときに連携して課題解決に取り組めるようにと、政治学者の中島岳志さん、杉並区長の岸本聡子さん、多摩市長の阿部裕行さんらと共に、全国の首長や地方議員をつなぐネットワーク「LIN・Net」をたちあげ、「地域主権と民主主義」の実現を目指した活動を進めています。
著書「国よりさきに、やりました」は、そんな保坂さんが、『この時代を覆っている「無力感」を吹き飛ばして、道は険しくとも到達できる複数のルートがある、政治は変えられる、社会も動きだす、という「希望」を読者に共有してほしい』と願って、これまで実践してきた、こうした具体的な政策を紹介したものです。
コロナウィルスの蔓延、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区攻撃、裏金問題に揺れる国内政治、等々、ともすれば「絶望」しそうな時代に生きる私たちにとって、今読んでおきたい、背中を押してくれる著書でした。
「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
笹井明子