寒い季節から、少しずつ、暖かな季節へと、時は移り変わっていました
毎日、様々なことが起きる中で
、
このお家
のおじさんおばさんも、気持ちが
不安定になることも多くなり
容態の変化に、一喜一憂しながら
しだいに、心も体も疲れ
を感じるようになっていきました。
ディーナや
らっちゃんの介護は、決していやではありませんでした。
寒い夜中に何度起きようと
、
部屋中に、うんちがべたべたに散らかろうと
急に、苦しそうな呼吸になり、
夜中にコンビニで酸素ボンベを買いに走ろうと
とにかく、最後まで、苦痛を少なく、と願う気持ちに、
少しのブレもありませんでした
…それでも、ほとんど寝ないまま仕事に行くことが増えるに連れ、
愛情たっぷりのおじさんおばさんも、ふと、
弱音を漏らすこともあったのは
後になって思うと、無理からぬことでは、ありましたが
しかし、特におばさんは、そう思うこと自体に、大きな悲しみを感じていたようでした。
初めは、ディーナのほうが、早く容態が悪くなりましたが、
にゃんこの方が強いのでしょうか・・・
結局は、らっちゃんが、いよいよ、ということになっていったのです
アモは、ほとんどずっと付きっ切りで、らっちゃんの傍に居ました
苦しそうに咳をすると、心配してじっと見ていました
薬を飲むと、すぐ戻してしまうので、薬が合わないのか・・・
注射だと、返ってショックになってしまい、すぐに逝ってしまうのでは・・・
今、してあげられることがなく、息が苦しそうでたまらないらっちゃんを見て、
正直、おじさんおばさんは途方にくれていました
とうとう、本当に息苦しくなって、全身ではぁはぁするようになった時、
おじさんたちは、また、決断しました
「先生に相談して、いよいよなら覚悟しよう」
ミーヤのときの思いが、よみがえります、
でも、もう、待ったなし、らっちゃんは、確実に呼吸困難です
酸素ボンベをあてたまま、おじさんとおばさんは、先生のところに駆けつけました
「先生、もし、この子が先生のお宅の子だったら、どんな選択をなさいますか・・・?」
おばさんは、長年信頼関係を築いてきたからこその質問を向けました。
「・・・はい、正直に言いますね。きっと、もう少し早く、楽にしてあげたと思います・・・」
先生は、らっちゃんが子犬のときから診てくれた人です。
おじさんおばさんは、二人で、目を見合わせて、決心しました
そして、らっちゃんは、おじさんおばさんに撫でられて、旅立ちました
静かになった診察室で、それまでのらっちゃんの呼吸の音の大きさが分かりました。
あの苦しさから開放されたらっちゃんの体は、
やわらかく、温かでした
おじさんおばさんの号泣と共に、先生の目の涙が、印象的でした
・・・つづく・・・