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竹の秋

2021-05-21 10:43:36 | 国語的随想
竹が茶色に
竹の秋


「竹の秋」という季語があります。
秋、といつくので、季節分類は「秋」となりそうですが、実は春です。
竹は今頃、色が変わって落葉します。

この言葉自体は、けっこう大昔から知ってはいましたが・・
実感したのは、初めての歩き遍路の時。
徳島県の大根峠という、竹林の遍路道を歩いていたときです。
山道にたくさんの竹の葉が落ちていて、足元はかさこそという音が響くのです。
私の初遍路は、1995年、まだ歩く人は少なかった頃。
竹林のひんやりとした、少し陰気っぽい空気の中で、誰ももちろん歩いてはいない・・枯れた葉っぱだけが足に絡まる音は、何というか一種の孤独の形だったかなあ・・と。
そして、リアルに「竹の秋」という季語を実感した次第。
ちなみに徳島県の山村部には筍が名産のところがあります。
宿で、毎晩のように筍料理ということもありました。

高群逸枝(たかむれいつえ)という、明治から昭和を生きた女性史学者がいます。
女性史の草分け。
彼女は24歳で四国遍路にでて熊本新聞に「娘巡礼」という記事を掲載して評判になった人だが、、またいきたいといいつつ結局1度だけの遍路で終わってしまいまいした。
しかし、生涯たった一度の遍路の思い出を語ることをやめなかったという話を,その昔(20世紀)に読んだことがあります。
そのときは、フーン、そんなものかな・・・
と思ったのですが、今は分かる気がします。
私も、悠久山の蒼柴神社でこの「竹の秋」を見たときに、真っ先に思い出したのは、大根峠のかさこそかさこそ竹の秋、でした。
遍路、それも初めての遍路の旅で感じたり見たりしたことは、あとでじわじわと効いてくるんだなあ、と。

竹は冬の寒さでも青々としているのに、今の時期に葉を落とすのか。
それは筍のためです。
筍に栄養を回すため、らしいです。
ゆずり葉、という木がありますが、これも、あとから出てくる若い葉のために葉をおとすんですね。
自然の摂理はすごいです。

・・・・・・・・・・・・・・
間違えやすい季語
麦秋(ばくしゅう)・・・初夏・・麦が実ること・・時期ですね。
小春日和(こはるびより)・・・・・・・・晩秋から初冬





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