江本敦子X闘牛・空

　「アルシオンでデビューできて本当によかったです…」という手書きのメッセージと共に江本敦子（闘牛・空）からハガキが届いた。ハガキは江本＆空のダブルネーム。素顔とマスクを同じくらい使い分けしていた女子レスラーは、かつて例のない独特の存在だった。彼女が引退して1カ月半が経ったんだなぁ…
　大卒で英語が話せ、ボランティア活動で世界中を旅していたという異色の経歴は、それだけでレスラーの資質が備わっていた。それに考え方が大人だったから、常に現実と向かい合い現役生活を過ごした珍しいタイプだった。アルシオン→AtoZに移った時、私は心機一転させるためマスクウーマンに変身させた。マスクのデザイン・モチーフは実はベイダーだったが、手書きが上手く伝わらなかったのか、出来上がったマスクは顔の部分が生地で被われていたのだ。空になってから明るく楽しい試合で頭角を現した。AtoZを辞める間際には、偽物キャラの闘牛・黒空（ブラック・ソラ）なんてのを誕生させ、空の代わりをさせようとしたが、これは失敗。中身の中堅レスラーは成り切れなかったし、そもそもセンスが無かった。　そんなこんなで私とは縁が無くなったが、時を経て風香祭を開催する時はほぼレギュラー的に出場してもらったのだ。ポジティブな江本なら、次の生活も自然に乗り切っていけると思う。だから安心していられるのだ。