PART１９ タイガードリーム

　キャンディー奥津は天才的なセンスの持ち主で、その雰囲気は佐山サトルに酷似していた。アルシオン初のビッグマッチである、トーナメントARSに優勝したご褒美として、私はタイガーキング（当時はこう名乗っていた）に練習をつけてもらう企画を実行。その流れで佐山公認による、”女虎戦士”タイガードリームが誕生したのだ。この名前は奥津自身が命名し、初代タイガーの動きを直接指導してもらったのだ。公認ということは、オフィシャルである。勝手にタイガーの名前を付けたのではない。私はそこにこだわり、ライセンス料を払ったのだ。
　マスクは女性らしく、ピンクのラメをベースに作られた。おそらく実際に本人が使用した枚数は３～４枚だけだと思う。ここにある1枚も、数少ない本人使用のものだ。コーナーポストに駆け上がり、初代タイガーの動きを完璧にマスターしたタイガードリーム…1年契約だったため、更新しないままリングから去って行ったのだ。