高齢期の備え

高齢期の備えを考えます

定年に備える(年金で生活できるか2)

2020年05月18日 | 高齢期の備え
・介護費は、心身の状態と自己負担割合によって大きく異なります(本ブログ5月15日)。

・将来、もし要介護5となり自己負担が3割になったとすると、1年間の介護費は約60万円になると投稿者は推計しています。

・生活費と介護費(要介護5と自己負担割合3割)を年金で賄うとすると、必要年金額は単身世帯約200万円、夫婦世帯(夫婦とも要介護5と仮定)約340万円となります。

・現在200万円を超える公的年金の受給者は、65~70歳男性47%、同女性では5%となっています。単身男性の場合は約半分が年金でつつましい生活の費用と介護費であれば賄うことができる見通しがあります。

・介護費用のために500万円の貯蓄があるとすると、たとえば在宅、要介護3、自己負担割合3割として約10年間の介護費を賄うことができます。もし自己負担が1割のままであれば30年間賄うことができます。

(続く:次回は年金と貯蓄)
拙著「現役世代のための高齢期の備え読本」(アマゾン キンドル本 ¥500円)で高齢期資金リスクもう少し詳しく記載しています。

定年に備える(年金で生活できるか1)

2020年05月17日 | 高齢期の備え
・高齢期の所得は世帯ごとに違います。現状では、年収200万円以下が全世帯の4割で、年間所得が150~200万円の世帯が最も多く全世帯の1割となっています。

・一方、支出は、2030年に単身世帯で130万円、夫婦世帯で210万円、2050年にはそれぞれ140万円、220万円と想定します。

・想定根拠:食費や光熱水費は単身世帯で90万円、夫婦世帯で140万円(本ブログ5月12日)。医療費は男性約15万円、女性約12万円(自己負担割合を3割と想定:本ブログ5月16日)。医療保険料、介護保険料は合わせて一人当たり2030年16万円、2050年で21万円(本ブログ5月14日、16日)。住居維持費10万円。

・収入と支出を比べると将来4割が生活費に困る可能性があります。ただし、想定支出では保険料の減免措置などを考慮していませんから、生活費に困る世帯はもっと少ないと思います。また医療費の自己負担は3割と想定していますので、1割のまま、あるいは2割であれば支出は小さくなります。

・年間支出は、生きている限り必要ですからできるだけ年金で賄えることが望ましいと思います。年金の不足分を貯蓄で賄おうとすると、たとえば10万円不足の場合、寿命を90歳と想定すれば60歳時点で300万円の貯蓄が必要といったように寿命の想定によって必要な貯蓄額が変わります。

・支出には介護費が含まれていません。

(続く:次回は介護費)
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定年に備える(必要な高齢期の資金5:医療費)

2020年05月16日 | 高齢期の備え
・高齢期には医療費が増えます。一人当たりの医療費(入院外の医科+歯科+薬局調剤)は、60歳前半では年間約7万5千円、75歳以降では男性約5万円、女性約4万円です。しかし投稿者は2030年以降、75歳以上では75歳以上の医療費は男性15万円、女性12万円になると想定しています。この理由は以下のようなものです。

・現在、入院費などを除く29年度の医療費は次のようになっています(平成29年度国民医療費、千円の位で四捨五入)。
60-64歳:男性25万円、女性23万円
69-69歳:男性32万円、女性28万円
70-75歳:男性40万円、女性36万円
75-79歳:男性47万円、女性42万円
80-84歳:男性51万円、女性45万円
85歳以上:男性49万円、女性41万円

・また現在、現役並み収入の方を除き、自己負担割合は、69歳以下3割、70~74歳2割、75歳以上1割となっています。

・しかし、投稿者は、将来の現役世代人口の減少を考えると、75歳以上の方の医療費を支える20~74歳の負担は2030年には現在の1.6倍、2050年には2倍と推計しました。

・仮に75歳以上の自己負担割合を3割にしても2030年には現在の1.2倍、2050年には1.6倍と推計していますが、自己負担割合を3割以上にすることは社会的理解が得られないと考えています。3割自体も難しいでしょうが悲観的に考えておいた方が安全です。

・また75歳以上の医療保険料は、自己負担割合を3割にしたとしても、現在の年間約7万円から2030年には9万円、2050年には12万円と推計しています。

・この記事の根拠は拙著「現役世代のための高齢期の備え読本」(アマゾン キンドル本 ¥500円)で掲載しています。

定年に備える(必要な高齢期の資金4:介護費用)

2020年05月15日 | 高齢期の備え
・介護サービスの費用は、介護度や受けるサービスの内容によって違います。もし、在宅で介護サービスを利用する場合には、介護度に応じて上限額か決まっています。

・現在の在宅での介護サービスの上限は、要支援1:5万円、要支援2:10万円、要介護1:17万円、要介護2:20万円、要介護3:27万円、要介護4:31万円、要介護5:36万円となっています(千円の位で四捨五入)。

・一部の現役並み所得の方を除けば自己負担は1割です。また平均的にみると利用は上限いっぱいでなく、要介護1で上限の約50%、要介護5では約60%です。

・現在の在宅介護サービス費用額の実績と、5月13日のブログの介護度の想定、5月14日のブログの自己負担3割の想定から将来の介護費用の見込みは次のように推算できます(1万円の位で四捨五入)。
【同年齢10人のうち5人がある介護度のなる年齢には自分もその介護度になり、現在60歳10人が5人になるまで自分も生きるとした場合】
(男性)介護費は不要
(女性)生涯で30万円
【同年齢10人のうち3人がある介護度のなる年齢には自分もその介護度になり、現在60歳10人が3人になるまで自分も生きるとした場合】
(男性)生涯で80万円
(女性)生涯で500万円

・このように介護費は心身の想定によって大きく異なります。ただし自己負担割合が将来も1割であれば、必要な介護費用は3分の1ですみます。

・介護費用は突然多額が必要となる場合もありますが、普通は年齢とともに必要額が増えます。年金が多い場合は資金不足のリスクは小さいのですが、年金が生活費を賄うだけで精一杯の場合は介護に備えた貯蓄が必要です。

・たとえば定年後旅行を楽しみにしていて退職金をつぎ込み過ぎると、後に介護費用が不足することにもなりかねません。

(次回は医療費用の推算)
「現役世代のための高齢期の備え読本」(アマゾン キンドル本 ¥500円)。ご一読頂ければ幸いです。

定年に備える(必要な高齢資金3:介護費用)

2020年05月14日 | 高齢期の備え
・介護費用の見通しを立てることが難しいもう一つの理由は、将来において介護サービスを受けたときに費用がどの程度になるかです

・現在では介護サービスを受けたときの自己負担は多くの場合1割です。ただし、所得が多い場合は2~3割の方もおられます。

・投稿者は、2030年以降は自己負担が3割になると想定しています。

・その根拠は、介護制度における保険料が高齢者を支える人口の減少から推算しました。

・保険料は、現在のところ全国平均で年額約7万円(市町村によって異なる)ですが、人口の変化にのみ着目して将来の介護保険料を推算すると、自己負担1割の場合2050年には2015年に比べ2倍になります。

・介護費用の増大に対して保険料を引き上げることは、現役世代は勿論のこと介護サービスを利用しない高齢の方にとっても負担(保険料)増になり、こうした人たちにとっては不平等になります。

・2030年に自己負担を3割とすると、保険料は2030年には年額7万円、2050年には年額9万円と推算されます。

・この想定は非常に簡易な算定に基づきますから不確かさは大きいのですが、将来、国全体で介護費用は確実に増えますから、高齢者にも応分の負担は求められることは覚悟しておく必要があると思います。

・そこでこの自己負担3割を前提に介護費用を推算してみます。

(続く:次回は介護費用の推算)
この記事の根拠は拙著「現役世代のための高齢期の備え読本」(アマゾン キンドル本 ¥500円)で掲載しています。