廊下のむし探検 第3弾
朝の続きで、3月27日にマンションの廊下で見た水生昆虫です。水生昆虫と言っても幼虫時代を水中で過ごすという意味で、ここでは、カワゲラ、トビケラ、カゲロウなどを指しています。他にも、トンボやハエの仲間などいっぱいいますけどね。これまで、カワゲラやトビケラの名前を調べるのは大変でしたが、最近、「原色川虫図鑑成虫編」(以下、川虫図鑑と略します)を手に入れてからは俄然やる気が出てきました。
今日の最初はこのカワゲラです。私のマンションでは、毎年、3月中旬から4月初旬にかけて見ていて、何だろう何だろうと思っていました。でも、カワゲラは調べる手段がなかったので、まったく手つかずでした。今年は頑張って調べてみました(こちらとこちらを見てください)。最終的には中胸腹板にあるY字線を見ないといけないのですが、今のところ、アミメカワゲラ科のヒメカワゲラ属(アミメカワゲラモドキ属)が有力で、コウノアミメカワゲラ属とアミメカワゲラ族所属不明の可能性も残しておくというところまででした。川虫図鑑によると、日本産ヒメカワゲラ属 Stavsolusには4種記録されているのですが、そのうち2種は正体不明だそうで、また、「日本産水生昆虫第二版」によると、2016年にOhgane and Uchidaによるヒメカワゲラ属の論文が出たのですが、多数のミスがあって修正が必要とのことで、まだ混とんとしているようです。という訳で、まだ、種までは達していません。
この2匹はヒゲナガカワトビケラです。実は、これにもチャバネヒゲナガカワトビケラという似た種がいます。川虫図鑑によると、後翅が薄茶色であるので「チャバネ」という和名がついたようですが、翅色では区別が難しく、距式という脚の脛節の距という刺の数で確かめないといけないようです。トビケラの距は脛節の中央付近にある前距と末端にある末端距がありますが、これを合わせて数えます。そして、前脚―中脚―後脚という風に書き、例えば、ヒゲナガカワトビケラでは3-4-4、チャバネヒゲナガカワトビケラ♂では0-4-4、♀では2-4-4というようになります。つまり、この2種は前脚の距の数に違いがあります。残念ながら、採集していないので、写真からだとよく分かりません。今度捕まえて見てみます。
これはオナシカワゲラの仲間です。このように翅に黒い模様があるのは、オナシカワゲラ科フタオナシカワゲラ亜科フサオナシカワゲラ属 Amphinemuraのモンオナシカワゲラ種群に属する種です。「オナシ」というのは普通カワゲラがもっている長い尾を持っていなくて、1節だけの短い尾しか持っていないという意味です。「フサ」は幼虫時代の房状の鰓の痕跡を持っている意味で、昔撮ったので写真はうまく撮れていないのですが、ここに示したような鰓の痕跡があります。日本産モンオナシカワゲラ種群には4種が記録されていますが、本州にはモン、サトモン、ヤマモンの3種がいて、♂の肛上板の形状で区別するので、この写真ではよく分かりません。
最後はこのカワゲラです。これもオナシカワゲラの仲間です。日本産オナシカワゲラ科には4属60種以上が記録されているので、採集しないとまったく名前が分かりません。採集しても、交尾器の形状を見ないといけないので、私にはまだまだ難しい対象です。このカワゲラは採集して観察してみました。
これは実体顕微鏡で腹部末端を腹側から撮ったものです。
先端部分をもう少し拡大してみました。濡れているように写っているのは、冷凍庫に入れておいて解凍したからだと思います。まだ、系統的に調べることはできないのですが、前生殖板とその先の2か所の弱く節片化した構造などを見ると、オナシカワゲラ属 Nemouraのケフサオナシカワゲラ redimiculum♀とよく似ていることが分かりました。川虫図鑑によると、分布、発生時期も合っているので、これかなと思っているのですが、はっきりしたことは分かりません。
雑談)朝、ブログ上では画像を小さめに表示して、クリックすると元の大きめの画像が表示されるようにリンクをいちいち入れるのが大変だという話をしたのですが、それを自動的にやってくれるEXCELのVBAのマクロを作ってみました。といっても、TEXTエディターにまず画像をまとめて入れてしまい、それをEXCELにコピーしてVBAのマクロを実行し、再び、TEXTエディターに持ってくるというもので、手間といっては手間なのですが、多少とも楽になりました。
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