廊下のむし探検 第2弾
昨日の続きで、3月27日にマンションの廊下で見た虫たちです。今日は甲虫を紹介します。甲虫はともかく種類が多く(「日本列島の甲虫全種目録(2019年)」(以後、目録と略します)によると13031種)、図鑑や全体を俯瞰する論文の出てない科も多いので、私にとっては虫の名前調べの難関中の難関です。それでも、少しずつは進んでいこうと思ってやっています。
今日の最初はこの甲虫からです。後脚腿節が太いのでノミゾムシの仲間です。こんな風に小盾板(後で示します)後方に白い毛の束があるのはムネスジノミゾムシなどが含まれるRhynchaenus属(現在ではOrchestes属)の仲間です。「原色日本甲虫図鑑IV」(以後、図鑑と略します)からそれらしい種を探すと数種が見つかります。このうち、本州産だけに限ると、ムネスジのほかに、キンケ、マダラ、ガロアあたりが似ています。図鑑に載っている、このあたりの検索表を抜き書きすると次のようになります。
いくつか見るポイントがあるのですが、上の写真のゾウムシを例にとって見てみると次のようになります。
小盾板直後の毛、中央前後の横帯、第5間室(?)の白紋、それに暗色紋です。これらに注目しながら、この検索表を追いかけていくと、①→②b→③b→⑤aとなり、ガロアノミゾウムシに到達します。採集しなかったので、本当かどうかよく分かりませんが、たぶん、そうかなと思っています。ただ、先ほどの目録ではこの種はOrchestes (Orchestes)に入っていて、全部で21種が記録されています(括弧内は亜属)。それに対して、図鑑では13種なので、そもそも検索表がどの程度有効かどうかよく分かりません。
こんなのもいました。中央後の横帯は見えるので、先ほどの検索表ではガロアかマダラかということになるのですが、模様がはっきりしません。それで、初めマダラかなと思ったのですが、斑紋自身は先ほどのガロアとよく似ているので、やはりガロアノミゾウムシだろうと思っています。
こんなのもいました。こちらは中央後の横帯がないので、たぶん、ムネスジノミゾウムシではないかと思っています。
次はこの甲虫です。ハネカクシの仲間ですね。先ほどの目録によると、日本産ハネカクシ科には404属2410種が記録されています。亜種まで含めると実に2451種+亜種だそうです。とてもその辺の図鑑で探すわけにいきません。それで、今まではハネカクシの仲間とだけ書いていたのですが、今年は手の付けられなかった虫も少し調べてみる方針なので、亜科の検索だけでもと思って調べ始めました。詳細はまた今度示しますが、このハネカクシはAleocharinae亜科ではないかと思っています。
これはハムシ科のヒゲナガハムシ亜科に属しています。図鑑で見ると、アカタデハムシあたりが似ているのですが、一応、検索で確かめてみました。検索表は次の本に載っています。
木元新作、滝沢春雄、「日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説」、東海大学出版会 (1994).
写真の個体はPyrrhalta属に含まれるのですが、Pyrrhaltaについてはこれまでニレハムシで検索をしたことがあります。そのとき、「上翅は側縁に沿って細い隆起条を基部より末端へ装う」という項目があります。ニレハムシにはなくて、アカタデハムシには隆起条があるので、是非とも見てみたいと思っていました。今回は採集したので、昨夜調べてみたら、やっとその隆起条が見つかりました。たぶん、アカタデハムシで間違いないのではと思っています。顕微鏡写真も撮ったので、今度、お見せします。
次はこの虫です。この日は2匹いました。
次はこれ。これも2匹いました。共にアカホソアリモドキという小さな甲虫です。
これは外来種でマルトゲムシ科のMicrochaetes属ということしか分かりません。マンションではよく見かけます。
最後はお馴染みのナナホシテントウでした。本当は水生昆虫も書こうと思ったのですが、長くなったので、ここで一旦打ち切ります。
マンションの廊下を20分ほど歩いただけなのですが、結構、いろいろと見つかるでしょう。マンションの壁は白なので、小さな虫でもよく目立ちます。それに対して、外を歩くと背景が緑や茶色なので、なかなか虫は見つかりませんよね。
雑談1)Yahoo!ブログから移ってきて2回目の投稿になります。gooブログの感想をちょっと。ともかく、投稿に時間がかかっています。一つにはTEXTエディターというのを使っているのですが、太字にしても、リンクを張ろうとしても、センタリングをしようとしても、HTMLタグが間に入ってくるので、後で見直すときに読みにくくて仕方ありません。一応、プレビューが別ウィンドウで開くのですが、訂正するのにいちいちエディターに戻らないといけないので、Yahoo!ブログに比べるとかなり厄介です。もう一つは図に関してです。図の元画像を少し大きめに、表示画像を少し小さめにして、図をクリックすると大きく見えるようにしたのですが(これはYahoo!と同じです)、図ごとにHTMLタグにサイズを入れたり、リンクを張ったりで結構大変な作業になっています。慣れれば大丈夫かもと思っているのですが、根気との勝負みたいです。でも、いっぱい見ていただき、コメントまでいただいたので、頑張らなくっちゃ。
雑談2)今年度、マンションの理事長になってしまったので、あまり、虫に力を入れられないかもしれません。築うん十年のマンションなので、いろいろ問題が多くって。それでも、虫の名前調べを止めてしまったら、何のために今までやってきたのか分からなくなるので、意地でも続けようとは思っていますが・・・。